人材育成

変化の多い社会で社員のキャリアを考える際に大切なこととは

キャリアデザインというのは、自分の将来を長期的に見据えて、キャリアパスを歩んでいく取り組みです。
しかし、不確実性の高い社会では、その取り組みはより難しいものと考えられます。

社会にでて数年の実務経験が少ない若者などにとっては、将来の姿を想像してキャリアデザインすることは難しいことでしょう。
不安を感じたり、心配になったりする社員もいるかもしれません。

そこで、社員にキャリアを考えさせ、親身になって一緒に考えていく際に、経営者がその経験を活かしながら、社員の気持ちを安心させ、キャリアプランをより充実したものするためのアドバイスの留意点についてご紹介します。
なお、店舗ビジネスのキャリアの限界を突破する「のれん分け制度」づくりや成功のポイントを知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。

事業拡大したい経営者必見!のれん分け制度をつくる7つの手順と、成功の3つのポイント

(1)変化の多い社会でキャリアデザインすることの難しさ

「うちの若い社員が、『キャリアを考えようといってもあまり思い浮かばない』と言うのです。」
これは先日お会いしたサービス業を営む経営者の方の言葉です。

キャリアをデザインするということは、自分の将来を考えることです。
具体的には、1年後から10年後などの将来を見据え、自分の強みや弱みを把握しながら、どのような業務を担当しながら成長していきたいのか、どのような働き方をしたいのかなどを考えることです。

そのうえで、獲得すべき知識や経験、高めるべきスキルを明確にして、OJT(On the Job Training=現場業務を通して行う教育訓練)や研修予定の計画をします。
自分の将来の姿から現在の自分の取り組みに落とし込むことがポイントであり、この道筋が社員の業務への取り組みや成長へと動機づけます。
このように、これから歩むキャリアパスを設定し、それに向かって進んでいくことは、キャリア構築するうえで正攻法と言えます。

しかし、キャリアデザインを考えたり、取り組んだりすることは、社員を難しい課題に直面させる場合があります。
社員によっては、不安を感じたり、心配になったりするかもしれません。

なぜなら、現在の20代から30代などの若者は、これまでに経済成長を経験したことがなく、成長の過程で両親が苦労して働く姿や明るくないニュースなどを見るうちに、多くを期待しなくなってしまったと言われます。
社会の厳しさや不確実さを強く感じるようになりました。

加えて、20代など社会にでて数年の若者は実務経験が少なく、将来の姿を想像してキャリアデザインするということは、具体的にやりたい夢などを持っていない限り、難しいこととも言えます。
将来を見通すことは誰にとっても難しい社会で、自分のしたい仕事は本当にこれなのか?
将来の姿のためのキャリアパスはこれでよいのか?
などの疑問を持つことは、キャリアを考えるなかで、誰にでもありうることと考えられます。

(2)社員のキャリアを考えるうえでの留意点

そこで、社員のキャリアをサポートする経営者の力が必要になります。
正攻法であるキャリアデザインを社員と一緒になり、相談に乗るような形で親身になって考えるとともに、社会人の先輩として、不確実性の高い社会のなかでキャリアを考えることに配慮し、以下の点に留意点しながらアドバイスします。

①キャリアデザインは方向性を重視し節目に見直す

社員が目指したい姿を具体的に思い浮かべられないときでも、自分が向かいたい方向性というのは、ぼんやり気づいているはずです。
例えば、料理人になりたいのか、営業職につきたいのか、子どもに興味があるのか、海外や外国人に関係がある仕事がしたいのか、コミュニケーションが得意なのか、まとめ役を務めることがあるのか、エクセルなどで計算をするのが得意なのかなどです。

会社に勤めるまでに、専門学校や大学の学部・学科を選んだ経験はあるはずですから、自分の興味のある分野はわかっています。
そのため、自分の大きな方向性であれば設定することができます。

そして、それを仕事や人生の節目、例えば、昇進のチャンスや社内異動の機会、結婚や子どもが生まれたタイミングなどに、キャリアパスを見直すように支援します。
経営者や先輩社員の体験談などを伝えると実感がわきやすく効果的です。

②不確実性を受け入れたうえで取り組む

米国の心理学のジョン・クランボルツ教授の研究によると、成功した人のキャリアを調査したところ、そのターニングポイントの8割は予期せぬ出来事に起因していたそうです。
これは「計画的偶発性理論」と呼ばれます。

社会の変化は誰にも予想できずコントロールできるものではありません。
しかし、この否応なく訪れる社会の変化にどのように対応するかが大切です。

会社経営であれば、機会を活かしながら、自社の強みを活用することが成長へとつながります。
これはキャリアデザインにも当てはまることです。
つまり、方向性を見据えておいたうえで、いかに自分のまわりの変化に気づき対応するかということです。
そのために、日頃から出来るいくつかの心掛けがあります。

新しいことに興味を持つ

変化というのは、現状との違いのことです。
変化をとらえるためには、現状を正しく把握しておきます。
そして、現状と異なることが起こったときに、スルーばかりせず、自分にとってどういう意味や影響があるのか考え、受け入れてみることが大切です。

継続する

仕事でも生活でもすべてが思い通りにはいきません。
うまくいかないことや阻害要因が発生することがあるかもしれません。

しかし、物事には、継続しないと結果がでないものがあります。
例えば、売上げ向上のための販売促進策や健康維持のための食生活などは、1回や1日だけでは効果がでず、継続することに意味があります。

前向きに考える

事実は1つだとしても、その事実をどう見るかは、その人次第です。
うまくいかなった取り組みがあった場合に、できなかった原因ばかりに目を向け、自信を失ってはいけません。振り返りをしっかりしたうえで、次の取り組みに活かす気持ちが大切です。

しなやかな姿勢

社会はつねに変化し、そのスピードは速くなっています。
これまでうまくいっていたことでもうまくいき続けるとは限りませんし、慣れたやり方や環境が次第に適さなくなる場合があります。
新しい変化や考え方、新技術などを忌避せず、しなやかな発想と行動で対応します。
現状に固執しすぎないことです。

結果を見通しきれなくても、取れるリスクの範囲内で新しいことにチャレンジすることが大切なときもあります。
チャレンジすることで、見えてくることやわかることがあります。

キャリアデザインというのは、自分の将来を長期的に見据えて、キャリアパスを歩んでいく取り組みですが、不確実性の高い社会では、その取り組みはより難しいものと考えられます。
そこで、社員にキャリアを考えさせ、親身になって一緒に考えていく際に、経営者がその経験を活かしながら、上記の留意点に気を配りアドバイスすることで、社員の気持ちを安心させ、キャリアプランをより充実したものにできます。

(コンサルタント・中小企業診断士 木下岳之)

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