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フランチャイズ本部に求められる災害対応のあり方とは

大型台風、集中豪雨、豪雪など、異常気象に起因した災害による被害が増えています。

これらのことは、もはや想定外ではありません。
時代の傾向的には、今後ますますこのような不測の事態が増えていくと考えておいた方がよいでしょう。
持続可能な事業であるためには、災害などが発生した際にも、一早く、企業の中核業務を復旧する必要があります。

このためには、あらゆることを想定し、様々な事前対策を打っておくことが必要です。

前回(新型コロナウイルス危機で考える フランチャイズ本部の危機管理・災害対策)に引き続き、災害時に発生する課題を踏まえて、フランチャイズ本部における事前対策について触れていきます。

なお、フランチャイズ本部構築の進め方や成功のポイントについて詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。

フランチャイズ本部の立ち上げ方。7つの手順と成功の3つのポイント



 

(1)想定される災害休業

昨今の大規模災害では、店舗が休業に追い込まれるケースが増えています。

今回の新型コロナウイルス問題では、多くのスポーツジムやフィットネスクラブ、ライブハウス等が休業するにいたっています。

万が一、フランチャイズチェーン店舗が休業に追い込まれてしまうようなことがあれば、特に資本力の少ない小規模加盟店にとって死活問題です。

休業が避けられないこともあるかもしれませんが、フランチャイズ本部としては、可能な限り休業期間を減らす努力をしておくべきでしょう。

休業に追い込まれるケースは、大きく分けて3つです。
フランチャイズ本部としては、これらに対して、事前に必要な対応策を検討しておくことが求められます。

①営業店舗の被災

営業店舗の被災により、通常運営することが困難なケースです。

被害状況によって営業再開の目処が異なります。
停電が発生していれば、食材が保存できない、排気ができない、などの問題も生じます。
店舗の修繕などに多額の投資が必要な場合、閉店の判断にも至ることもあるでしょう。

あらかじめ生じうる問題を想定し、必要な対応策を整理しておくべでしょう。
その内容を踏まえ、被害状況を目視で確認し、営業再開時期を現場も含めて判断します。

②店長・スタッフ自身の被災

店長・スタッフ自身が身体的被害を受けたケースや、自宅の半壊・全壊などが生じたことなりにより生活基盤の復旧を最優先とするケースです。

この場合、店長・スタッフからすれば、店舗の営業どころではありません。

フランチャイズ本部としては、店長・スタッフに対して最大限の支援を行いつつ、加盟店に対しては人材面でのサポートを実施するなどして、店舗の早期復旧を目指すこととなります。

③物流遮断による営業困難

災害時は物流網が遮断されることもあります。
この場合、販売する商品や食材、営業備品が入荷されず、休業を余儀なくさることになります。

したがって、既存の物流網が遮断された際の代替手段についてもあらかじめ想定をしておくことが、早期復旧のポイントとなります。


上記の3つの視点から休業に追い込まれるケースを想定し、早期復旧するためのマニュアル整備
は必要でしょう。

基本的には、被害レベルの把握から復旧可能日を算定し、それと並行して物流体制の整備・復旧を急ぎます。
店舗の人員体制が整わない場合は、小人数でのサービス縮小を判断し、営業再開を目指します。

 

(2)加盟者との信頼関係を築く!本部による「キャッシュ」支援

被災を被った地域に対して、全国から様々な支援が早期に実施されるようになりました。
物資の供給やがれき撤去のボランティア等、支援の輪が広がります。

しかしながら、最低限の物資を除けば、被災者にとって最も助かるのは「キャッシュ」です。
キャッシュが回れば、生活基盤も経済活動の復旧も早く進むものです。

“義援金”や“政府の補助金”、“復旧支援措置としての低利融資”などもありますが、被災者の立場からすれば、当座の資金支援が最も助かるのです。

ですから、フランチャイズ本部としては、加盟店が被災した際には、少額でも早期に加盟店へキャッシュが行きわたる体制を準備しておくべきです。
具体的には以下のような方策が考えられます。

①本部(会社)からの見舞金

本部からの見舞金は、復旧活動に尽力する加盟店に対する敬意の表明と同時に、最良のビジネスパートナーとしての、本部の姿勢を表します。
真っ先にここに意識が向くことが加盟店を安心させますし、本部と加盟店との信頼関係にもつながります。

そのためにも、本部として拠出できる「見舞金」の上限と、被災状況に応じた「支給額」を社内規定で決めておくとよいでしょう。
「拠出額」「被害状況調査マニュアル」「社内規定・決裁者」「加盟店(現場)案内文」を準備しておけば、あとは加盟店の口座へ振り込むだけです。

この直接的な支援を迅速に行えるかどうかが、本部と加盟店との信頼関係を大きく左右することはいうまでもありません。

②個人としての見舞金の収集

次に本部社員・他の地域の加盟店から見舞金を募り、被災した加盟者へ贈る体制の準備です。
この見舞金は個人判断ですので、本部はあくまで募集活動の旗振り役となります。

これも「マニュアル」と「案内文」「募金箱」を準備しておき、あとは募集期間を決めれば、即時に対応することができます。

①同様、フランチャイズ本部の動きが迅速であればあるほど、加盟店は本部に信頼感をいだくことでしょう。

③フランチャイズ総合保険 既存保険の見直し

保険金も復旧スピードに大きく影響します。

保険には、設備補償、休業補償、商品補償、見舞金、疾病補償等があります。
災害の種類・保険の種類・掛金によって、保険適用の有無や適用範囲、保険金額が大きく異なってきます。
最近では災害に適用した保険も出てきていると思いますが、今の事業に合った保険とは何か、見直しが必要でしょう。

保険適用となる災害のケースや適用範囲、免責事項、早期の被災状況調査の実施等、保険会社(代理店)と交渉し、本部・加盟店にとって最適な保険体制を構築しておくとよいでしょう。

賃借物件であれば家主(地主)の保険を活用できるケースもありますので、家主の入っている保険を確認し、事業に合った保険に加入いただくことも必要です。

 

(3)まとめ

日本の風土、日本人のメンタルとして、「キャッシュ」に対する取り決めを避けて通る傾向にありますが、被災した現場が最も助かるのが「キャッシュ」です。

加盟店・現場のS V自身が被災しながらも、賢明に復旧作業に当たる中、復旧活動・経済活動の手助けをしてくれる「キャッシュ」の早期支給は、現場の士気を高めるのです。

加盟店の災害復旧(事業・生活)や、運転資金の確保には手助けが必要です。
同時にフランチャイズ本部にとっても、「見舞金」や「保険掛金の費用」等も考慮したキャッシュフローを考えておく必要があるでしょう。

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