「早く教室を任せたいので、いつも指導しているのですが、なかなか率先して動いてくれなくて・・・」
「今の若い人は積極性が欠けているのではないでしょうか・・・」
上記は、ある習い事教室の経営者の方から伺った言葉です。
経営者と若い人の年齢が離れているほど、若い人の気持ちが理解できない、と感じる経営者の方が多いようです。人の性格は人それぞれですが、育った環境などにより一定の影響を受ける模様です。経済的に豊かで子どもの数が少ない時代に育った世代は、年配の世代が育った時代と明らかに環境が異なります。
若い人を20才~35才くらいとすると、人格や性格を形作ると言われる10代を1990年後半から2010年半ばに過ごしたことになります。その間に、以下のような社会の変化がありました。
- バブル崩壊後のデフレ経済の進展によるモノ余り時代の到来
- 2000年後半から人口が減少し、少子高齢化が進展
- 子どもの数減少による親や祖父母による過保護
- 2002年からの公立学校での完全学校週5日制などのいわゆるゆとり教育実施
- 個性を尊重する学校教育による個性重視の風潮
- 携帯やスマホ、ゲーム機の小中学生時代からの使用
- SNSなどによるコニュニケーション手段の多様化 など
このような社会環境で育った世代は、以下の様な傾向があると言われています。
- まじめ
- おとなしい
- 受け身
- 肯定されることに慣れている
- 友達以外とのコニュニケーションが苦手
- 高望みをしない
この世代の特徴として「上記のような傾向があるかもしれない」と認識して接することが、よりよいコミュニケーションに欠かせません。若い人が活きいきと働き、活躍してくれることで、職場や会社は活気づきます。まず若い世代の性格や行動パターンを理解することを心掛けましょう。
若い世代にあった人材育成の進め方とは
企業が商品やサービスを提供する際、顧客ターゲットを絞り、ターゲットにあった商品・サービスの開発や販売促進策を実施します。顧客に受け入れられないと売り上げにつながらないからです。人材育成についても同様のことが言えます。人材育成方針は全社共通ですが、若い世代を意識した人材育成を進めることで、より成果を期待できるようになります。弊社が考える現代の若い世代の特徴を踏まえた効果的な人材育成方法の進め方は、以下の通りです。
1.対話を心掛ける
2.将来のキャリアの道筋を示す
3.次の行動につながるアドバイスをする
4.対話をベースに継続的に支援策を実施する
対話については、店長や先輩社員から声をかけることが必要です。例えば、挨拶は新人や若い人からするべき、と思っていませんか?店長や先輩社員がそのような姿勢だと、挨拶が苦手な若手の場合、挨拶する機会がなくなってしまいます。そうならないように、積極的に店長や先輩社員から声掛けしましょう。一方、若い世代が率先して挨拶をする時もあります。この場合は、どんなに忙しくても必ず目を合わせて返事をしましょう。意外なことかもしれませんが、若い世代ほど店長や先輩社員からの返事の有無を気にしているものです。また、作業指導は、決められた作業を伝えるだけではなく、作業の目的や注意点も合わせて説明します。そして、説明の最後には、質問や意見の有無を上司から確認します。作業内容がよくわからなくても質問できないことや、作業内容に疑問を持っても自分の意見を言い出せないことがあるからです。一方的な情報伝達にせず、双方向でのコミュニケーションを意識します。
将来の部下のキャリアの道筋を示します。将来の役職や給与などの可能性を見える化、イメージ化することで、仕事に対する意欲が高まります。若い世代は、高望みをせず、おとなしいと言われますが、それは不安の裏返しです。先行き不透明な世の中において、何があっても生きていける能力を身につけたいと考えています。
スキルアップ支援をする際には、次の行動につながるアドバイスをします。できなかった作業があった場合、できなかったことを責めるのではなく、改善策を考えさせ、次に何をしたらよいか具体的な内容を話し合います。部下の改善策が期待する内容ではなかったとしても、決して否定してはいけません。その取り組みを考えた理由や、別の取り組みを提案するなど、対話の中で、気づきを得られるように工夫します。例えば、電話の対応など若い世代は慣れていない場合があります。電話対応は指導しなくてもできて当たり前、で済ませず、世代間のギャップを埋めるように努めます。
このように、若い世代の性格と行動パターンを理解しながら人材育成を行うことで、部下はモチベーションが高まり、自発的な人材へと成長していきます。
IT化時代にますます重要になる自発的人材
人は千差万別ですが、人の成長は環境に左右されます。現在の若い世代の特徴は、横並び意識の強い高度成長時代に育った世代や社交的で見栄っ張りなバブル世代とは異なります。また、現在の労働市場は、人手不足を背景に人材の奪い合いとなっています。このような環境変化が進み、若い世代の考え方も変化してきていますので、それをしっかりと理解し受け入れて、今の時代の人にあった育成を実施することが大切です。
(コンサルタント・中小企業診断士 木下岳之)
多店舗展開・のれん分け・FC展開コンサルティングの専門企業
株式会社常進パートナーズ
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