多店舗展開

PDCAサイクルを回す3つのコツ

(1)重要度が増す経営計画策定

前回までのコラムで経営計画の重要性と経営計画の概要、策定の仕方をご説明しました。

(前回コラム)経営計画を作って変化を起こす行動のきっかけにする

近年、事業環境が急速に変化しているため、これまで通りのやり方をしているだけでは環境変化に取り残されてしまいます。環境が変化している中では、現状維持=衰退といえます。環境変化に対して自社を適応させていけるよう、自ら変化を起こす行動をすることが必要です。ただし、変化にはリスクが伴うため、通常はなかなか変化を起こす行動を取ることができません。ですから、事前に経営計画書を策定し、変化を起こすきっかけとすることが大切です。

(2)PDCAサイクルとは

経営計画を策定したら、いよいよ変化を起こす行動のスタートです。目標に向かって全社一丸となり進みましょう。そこで重要になるのが、計画と実績をもとに、継続的に取り組みをブラッシュアップし続ける活動です。この活動のことをPDCAサイクルと言います。PDCAの具体的説明とサイクルイメージは以下の通りです。

  • P=Plan:計画策定。目標と目標達成のための取り組みを明確にする。
  • D=Do:計画実行。会社全体で従業員が自分事として取り組む。
  • C=Check:実績評価。取り組んだ実績を計画と比較して問題点を把握する。
  • A=Action:改善。評価結果をもとに、計画を見直して次の改善策につなげる。

図1 PDCAサイクルイメージ

当社が関わった中小企業で持続的に利益が出ている企業は、どの企業も経営計画を策定しており、かつ自社内でPDCAサイクルが上手く機能していました。経営者自らが変化への対応の重要性を認識しており、計画策定により新しい取り組みにチャレンジしているとともに、その取り組みを一過性で終わらせることなく、PDCAサイクルを回して取り組みの精度をブラッシュアップし続けているのです。
PDCAサイクルを回し始めるには、経営者の強いリーダーシップと辛抱強さが必要ですが、一度回り始めると好循環が生まれ、企業の競争力を加速度的に高めていきます。

(3)PDCAをうまく回す

PDCAに取り組む3つのコツをご紹介します。

1.目標を具体的にする。

PDCAサイクルは実行した結果を評価し、評価結果を踏まえて行動をブラッシュアップするサイクルを継続的に回すことがポイントですので、実行した結果を評価できる仕組みにしておく必要があります。それには、計画の目標を具体的にすることが有効です。例えば、飲食店で売り上げを伸ばすため、平均単価を500円/人アップすることを目標とします。そのための具体的な実行策としては、本日のおすすめメニューを設定する、一定時間を経過したお客に対してご飯ものやデザートメニューをおすすめする、などが考えられます。このように設定した目標を達成するための具体的な実行策までを明確にしておくことで、実行した結果を評価し、評価結果を踏まえて行動をブラッシュアップするサイクルを回すことができるようになります。

2.全従業員が一つの目標に向かって取り組む

計画は経営者一人では実行できません。また、幹部社員だけが頑張っても成果はでません。計画を全従業員で共有して浸透させ、目標達成に向けて自分事として取り組むことが成功の秘訣です。そのためには、事前の役割分担と準備が大切です。上記の例でいえば、おすすめメニューを設定するために従業員とアイデアを出し合い、定番メニューとどのように差別化するのか、具体的にどのようにお客に伝えるのか、おすすめやPOP・チラシの作成は誰がするのか、などを事前に明らかにしておくことが考えられます。
役割分担と準備を行ったうえで、実際に計画を実行してPDCAサイクルを回し、少しでも成果が見えてくると、従業員のモチベーションが大いに上がります。モチベーションアップこそがPDCAサイクルを回す原動力になります。

3.業務やお客、数字をよく観察する

経営者の方から「計画を作成したが成果がでない」という声をよく聞きます。そのような場合は、計画を実行してはいるものの、PDCAサイクルがうまく回っていない可能性があります。
すべての計画がうまくいくわけではありませんが、PDCAサイクルが回っていれば、実行策がうまくいかなかったとしても、Actionで見直し、代替策につなげていけるはずです。成果が出ない場合は、PDCAサイクルのどのプロセスで、何が原因で止まってしまっているか、一度立ち止まって確認してみることをおすすめします。PDCAサイクルが上手く回らない問題が必ずあります。その障害や制約を取り除くことができるのは、経営者や幹部だけです。
また、PDCAサイクルが回っているにもかかわらず結果がでない場合は、計画における目標と取り組みが適切かどうか再度検証してみてください。前述の例では、平均単価アップのためにおすすめメニューの提供や追加商品のおすすめを実施することにしていますが、おすすめメニュー自体が他のメニューに比べてお得感がない、もしくは、おすすめメニューは選ばれているが別のメニューの注文が減っている、などが原因となり、目標である平均単価アップが実現できていないかもしれません。
経営者や幹部は、PDCAサイクルが適正に機能しているかどうかをよく観察しましょう。日々継続して観察することで、小さな変化にも気が付くようになり、環境変化に適切に対応できるようになります。

(4)現状把握して、考えて、行動する

PDCAサイクルと聞くと、「手間がかかりそう」とか、「やっても意味ない」と思われるかもしれません。しかしながら、急速に環境変化が進む現代において、環境変化に迅速に対応することの重要性が高まっています。行動変化のきっかけとなる経営計画を策定することはもちろんこと、策定だけで終わらずに、自らが変化するためにPDCAサイクルを回し続けることが大切です。難しく考えず、まずはしっかり現状把握をすること、考えること、そして従業員と共有して行動することです。経営計画を作ったけれどもうまくいかないこと、または経営計画策定やPDCAサイクルについてわからないことがあれば、専門企業に相談してみてください。

(コンサルタント・中小企業診断士 木下岳之)

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