多店舗展開

多店舗展開に必要な要素(前編)

先日、飲食店舗を10店舗超展開しており、直近の目標として50店舗の展開を目指す企業様から人事評価・賃金制度の再構築についてお問い合わせを受け、当社の基本方針をご説明させていただく機会がありました。
人事評価制度は、店舗ビジネスを営む企業が多店舗展開を進めていく上でなくてはならない仕組みです。ただし、ただ従業員を評価する仕組みをつくればいいかというと、そういうわけではありません。多店舗展開を進めていく際には押さえるべき要素がいくつかあり、構築した人事評価制度が効果を発揮するためには、それらの要素を踏まえて人事評価制度を構築していくことが必要です。
それでは、多店舗展開を進めていく際に押さえておくべき要素とはどのようなものがあるでしょうか。当社では、多店舗展開に必要な要素を以下のように定義しています。それぞれの意図やポイントをご紹介します。

(1)経営計画

多店舗展開を進めていく際にまずはじめに取り組むべきことが、経営計画の策定&全従業員への共有です。いたって当たり前のことですが、多店舗展開が上手くいかない企業の大半は、このステップで躓いていることが多い印象です。
多店舗展開の成否を左右するポイントが “会社が決定した戦略・方針を全従業員に高い水準で実施してもらえるか否か”に尽きることは、多店舗展開を目指す誰もが共感できる内容でしょう。経営計画自体が不明瞭であったとしたら、従業員からすれば不明瞭なことを高い水準で実施しようがありません。ですから、まずは会社の進む方向性や戦略、経営ビジョン等を明確化し、経営計画書等の形に落とし込んで可視化することが求められます。
そして、忘れてはならない点が“可視化した経営計画を全従業員に対して共有する”ということです。経営計画についてはある程度整理できている企業でも、この全従業員への共有が不十分であるケースが散見されます。
よくある失敗例は、経営者や管理者が、各従業員に対して日々の会話の中で個別に伝えていくケースです。これはこれで一定の効果がありそうですが、経営計画は会社のまさに中核となる内容ですから、日常のコミュニケーションの中ではなく、非日常的な機会を定めて伝える方が有効と考えられます。当社でおすすめしているのは、年に1~2回程度、経営計画発表会を開催することです。経営計画発表会には全従業員が参加することはもちろんのこと、協力会社や金融機関など、外部の関係先も招待することで特別な場=非日常的な機会とします。これにより、参加する従業員の意識が高まり、聞く姿勢が整う効果が期待できます。経営計画発表会の後には懇親会などを開催すれば、企業内コミュニケーションの深化、組織風土の良化なども期待できます。
このようなお話をすると「店舗の営業があるから全従業員を集めることは不可能だ」等との反論を受けることもあります。もちろん、簡単なことではありませんが、そこをどう工夫できるかが会社の競争力を左右するポイントであることを忘れてはなりません。実際、飲食店を数十店舗規模で展開していながら、経営計画発表会の日には全店休業してまで実施している会社もあります。その日に得られたであろう収益を考えると、経営計画発表会にかかっているコストは1千万円単位になろうかと思いますが、それでも経営計画発表会を開催することによって得られる効果の方が大きいと判断しているのです。それだけのコストを負担してまで実施している経営計画発表会ですから、経営陣の会に対する熱意も相当なものであることは言うまでもありません。経営計画の策定&共有は、あらゆる仕組み構築の前提条件となりますから、全力を尽くして取り組むべきことといえます。

(2)評価システム

経営計画が明確化されると、会社が従業員に求める意識や能力、行動も必然的に明確化されていきます。ですから、経営計画を策定し、全従業員に共有した後には、会社が従業員に求める意識や能力、行動に基づき、従業員それぞれを適正に評価することが大切です。会社の経営計画を実現するために従業員が努力した結果、その努力が適正に評価される、といった関係性が重要です。これにより、経営計画と評価システムが連動するようになり、“会社の方向性=従業員の方向性”といった関係性が成り立つようになります。
評価システムをつくることを考えると、どうしてもそこだけに集中しがちになりますが、評価システムは経営計画と連動させることではじめて意味があることを意識することが大切です。

—後編につづく—

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