多店舗展開

3店舗の壁で躓く企業と超えていく企業の違い

当社では日々様々な業種・業態の店舗ビジネス経営者から多店舗展開に関連する相談をお受けしています。
相談内容には、既存店舗の業績改善から直営方式による多店舗展開の仕組みづくり、フランチャイズシステムづくりなど多岐にわたりますが、大きく分けると以下の2種類の相談に分類できます。

①現状3~5店舗程度を展開しているものの、これ以上の店舗拡大に限界が生じており、基礎的なことから見直したい
②すでに5店舗超を展開しており、店舗拡大のペースを上げていきたい

 
割合としては、① 90%、②10% といったところでしょうか。
多くの企業において、いわゆる「3店舗の壁」と言われる障害が立ちはだかっていることがわかります。

ところが、1割の企業においてはこの「3店舗の壁」をものともせず、10店舗、50店舗、100店舗と加速度的に店舗展開を進めていってしまいます。
この違いはいったいどこから生まれるのでしょうか。

これまで当社が相談を受けてきた中で、3店舗の壁で躓く企業と、3店舗の壁をたやすく超えていく企業には、その取り組みに「明確な違い」があることがわかっています。
具体的には、3店舗の壁を越えていく企業はほぼ間違いなく以下の取り組みを行っていますが、3店舗の壁で躓く企業はほぼ間違いなく以下の取り組みを行っていない、もしくは取り組み方が不十分という違いです。
 

なお、店舗ビジネスの多店舗展開に求められる5つの要件について詳しく知りたい方は、こちらのコラムもあわせてご覧ください。

店舗ビジネスの多店舗展開を成功させるために必要な5つの要件とは


(1)会社だけでなく、従業員の将来も含めた明確な経営計画を作成している

違いの一つ目は、3年後、5年後に会社が目指す姿が経営計画書等の形で明確化されている、という点です。
具体的な内容としては、当社の経営理念、経営ビジョン(3~5年後の目指す姿)、重点的に取り組む事項等ですが、特筆すべきは、会社の従業員に対して「その目標が達成されたときに、従業員が得られるものは何か」が示されている、ということでしょう。

例えば、ある飲食チェーン店では、3年後に経営目標を達成したときの想定される組織図を示し、組織が拡大した結果新しくできる管理職などのポジションを指して「今いる従業員の中からこのポジションを任せる人材を選定します」という旨をコミットメントしています。
会社の目標達成によって、従業員にも新しいチャンスが生まれることを明確に示していることから、従業員の目標達成に対するモチベーションは非常に高いものを感じました。

3店舗の壁で躓く理由のほとんどが「社長と従業員の温度感の違い」にあります。
この温度感にギャップがある状態では、どのような仕組みを導入したとしても、その仕組みがうまく回ることはありませんから、まずはこの温度感のギャップを埋めていくことが求められます。

その最もシンプルな方法は、会社が目指す方向性や目標を明確に示したうえで、それが達成したときに従業員が得られるものを同時に示すことにより、会社と従業員の目指す方向性や目標を一致させることにあるのです。

(2)社長から全社員に対して経営計画を共有する特別な場が定期的に設けられている

二つ目は、(1)の内容と関連するものですが、作成した経営計画の内容を社長から全従業員に対して共有する場を定期的に設けている、という点です。
ポイントは、「社長から直接伝える」「特別な場を定期的に設ける」の2点でしょう。

当たり前のことですが、いかに素晴らしい経営計画を立案しようとも、その内容が従業員に浸透しなければ絵に描いた餅となりますから、経営計画をいかにして従業員に浸透させていくか、という点が重要なポイントとなります。
ここでよくある失敗要因は、「なんとなく日常の業務の流れの中(例えば社内会議、ミーティングなど)で、部門責任者などから経営計画が共有される」というものです。

3店舗の壁を容易に超えていく企業は、ほぼ間違いなく「経営計画を共有するための特別な場=経営計画発表会」を開催しています。
経営計画を発表するための場ですから、多くの場合、従業員だけではなく、取引先や金融機関など、外部の重要なパートナーも招待されています。
場所も、ホテルの会場などを用意することが多いようです。

このように聞くと「社内会議のついでにやった方がコストもかからずいいじゃないか」と思うかもしれません。しかしながら、この「特別な場を設ける」ということが非常に大切です。

なぜなら、特別な場で実施した方が従業員に対して会社が本気であることの姿勢が明確に伝わるからです。
ちなみに、先ほど紹介した飲食チェーン店は、10店舗を展開しているにもかかわらず、年に2回、全店舗を休業して全従業員が参加する経営計画発表会を開催しています。

店舗の日商や経営計画発表会に参加する従業員の人件費を考えると経営計画発表会に数百万単位のコストをかけていることになりますが、裏を返せばそこまでしても開催するという経営者の本気が、従業員に対しても伝わっているのでしょう。

以上のことから、当社が3店舗の壁で躓いている企業から相談を受けた場合には、まずは従業員の将来も含めた経営計画を明確化した上で、経営計画発表会を開催することを提案しています。
これは口で言うほど簡単なことではありません。

しかしながら、もしいま3店舗の壁で躓いているとするのであれば、3店舗の壁をものともしない企業のほとんどが実施しているこれらの取り組みを実施してみることこそが、実は3店舗の壁を突破する最短の道なのかもしれません。

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