人材育成

部下に持たせたいポジティブ思考よりも大切な気持ちとは

人の考えや行動を表すときに、ポジティブとネガティブという言葉があります。
とくに、ポジティブ思考を題材にした本などは本屋に平積みされており、度々目にします。

一般的に、ポジティブは積極的、前向き、ネガティブは消極的、後向きと捉えられているのではないでしょうか?
問題なのは、ポジティブ=前向き=よいこと、ネガティブ=後向き=よくないこと、とステレオタイプに受け取り、使われているところです。
人には必ずポジティブとネガティブの面がありますので、大切なことは、ポジティブという言葉よりも、社員の自己肯定感を高めることです。
そこで、成功体験を積み重ねさせること、キャリアを示すこと、一体感を持たせることで自己肯定感を高めるサポートをすることについて、ご紹介します。

なお、店舗ビジネスのキャリアの限界を突破する「のれん分け制度」づくりや成功のポイントを知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。

事業拡大したい経営者必見!のれん分け制度をつくる7つの手順と、成功の3つのポイント

(1)発想がネガティブな部下

「発想がネガティブな部下がいるのですが、どのようにポジティブにしたらよいでしょうか?」
これは、先日お会いしたサービス業の経営者の方からのご相談です。
この方は、コロナ禍で社内で社員を育てることの重要さに改めて気づき、キャリア教育を含めた自発的人材の育成に力を入れ始めたところでした。

お話を伺うと、この部下は将来が有望な数人いる若手のうちの1人で、ネガティブなところを除いては、仕事はコツコツそつなくこなし、仕事を任せて安心できるタイプとのことでした。
そのため問題がないように聞こえましたが、この経営者の方が“ネガティブ”という表現を使っていましたので、具体的に尋ねると「悲観的、否定的なところがある」とのことでした。

(2)ポジティブとネガティブという言葉の意味とは?

そこで、部下の気持ちや行動を理解するために、人材育成におけるポジティブとネガティブという言葉の使い方について、少しお話しました。それは次のような内容です。

人の考えや行動を表すときに、以前からポジティブ、ネガティブという言葉を聞きます。
とくに、ポジティブ思考を題材にした本などは本屋に平積みされており、度々目にします。
しかし、ポジティブという言葉から読者の方々は何をイメージするでしょうか?

一般的に、ポジティブは積極的、前向き、ネガティブは消極的、後向きと捉えられているのではないかと思います。
これらの言葉にこのような意味はあるかもしれませんが、問題なのは、それぞれの言葉の使い方、受け止め方だと思っています。

つまり、ポジティブ=前向き=よいこと、ネガティブ=後向き=よくないこと、とステレオタイプに受け取り、それを態度で表してしまうところです。
人には必ずポジティブとネガティブの面があります。
どちらか1面しかないように見える人がいるかもしれませんが、気持ちのなかは決してそんな単純なことはないでしょう。

また、外部環境により、前向きになったり後向きになったりするときがあるはずです。
つまり、いつもポジティブに見える人はもしかすると、人に前向きに見せるために意識的にポジティブを装っているのかもしれませんし、もしくは、自分を励ますために無理をして気持ちを強気にしているのかもしれません。

自分自身がどう振舞うかは自由ですが、それを人に強いるのはよいこととは言えません。
最近では、セクハラ、マタハラなどの言葉と同じように、このハラスメントを表す言葉として、ポジハラ(ポジティブ・ハラスメント)という言葉を耳にするようになりました。

(3)ポジティブより大切な自己肯定感

自発的人材とは、自ら考え自発的に行動できる人材のことです。
モノやサービスが社会に十分にいきわたり、今までと同じ商品やサービスを提供していたのでは会社は生き残れません。

今回のコロナ禍は誰にも予想できなかったことかもしれませんが、これまでと異なる社会や需要の変化に迅速に対応し、商品やサービスを開発して提供するには、多様な考えを持つ人材が不可欠です。
さまざまなアイデアを試しながら何が正解かを探し出そうとするなど、社員一人ひとりに積極的に行動してもらう必要があります。

しかし、ポジティブがすべてにおいて良いことではありません。
不確実性の高い市場において、消極的と思われる慎重さも合わせて必要です。
すべてを楽観的に何でもうまくいくと考え、手当たり次第にチャレンジしていては、いくら失敗してもキリがありません。
大切なことは、ポジティブという言葉よりも、社員の自己肯定感を高めることです。

(4)部下の自己肯定感を高めるポイント

自己肯定感を高めることができれば、自信をもって物事に取り組めるようになります。
これは子どもが成長する過程においても非常に大切ですし、社会人として多くのチャレンジが必要になるキャリア構築の際にも重要です。
そこで、人材育成において、次のような点を意識しながら、部下の自己肯定感を高めるためのサポートをします。

成功体験を積み重ねさせる

小さなことから一つひとつ成功体験を積み重ねさせます。
人はできることが増えることで、充実感を持ち自己効力感が高まります。

チャレンジさせることは必要ですが、失敗ばかりを経験させるのではなく、現状のレベルから少し上のレベルの新しい課題を与え対処させます。
いつもと同じルーティン業務だけでは成長が止まりますので、その部下の性格にあったギリギリ達成できるチャンスを与えることです。

それらを1つずつこなしていくことで、次第に自信がついてきます。
仕事は失敗すれば責任がともないます。
なかには行動に慎重な部下もいるでしょう。
しかし、部下に合わせた環境を整えることで、日頃から自己肯定感を育成することができます。

キャリアを示す

人が今何かをするための動機づけとして、将来に期待を持たせることが必要です。
将来に明るい光が見え期待できるから、今頑張ろうと思うのです。

仕事やスポーツなどで成果を出す人を見ればわかるでしょう。
大変な仕事やきつい練習に直面してもあきらめません。
将来得られるものがあると思うから頑張れるのです。
逆に、今が最悪の状態でなくても、今後悪くなることしか想像できない場合は、人はとても悲観的な気持ちに陥ってしまいます。

そこで、この会社で成長し活躍し続けることで築けるキャリアプランを示します。
現在の業務をこなすことで身につくスキル、期待される役職を具体的に共有します。
今後進む道が期待でき、これから取り組むことが、自分の将来のためであることがわかれば、大いにモチベートされます。

部下が伸ばしたい能力や担当したい業務やポスト、望んでいるライフスタイルなどをよく理解し、部下一人ひとりにあったキャリアを描きます。
部下の将来に心から関心を持ち、一緒に考えます。

一体感を持たせる

自信がつき会社から求められることを感じる取ることができれば、部下は会社と一体感を持つことができます。
それまでは、“雇用されている”という受動的な働き方だったかもしれませんが、これらを感じることで、“会社から信頼されている”、“私は会社の一員だ”、“会社に貢献したい”と気持ちが、能動的に変わります。
これは、能動的になるための足場が気持ちのなかに構築できたからです。
考え方に幅が広がり行動が積極的、前向きになります。まさに、ポジティブな姿勢が身につきます。

(5)部下に選択して行動する気持ちを持たせる

前向きに働くことで、充実感や達成感を味わうことができます。
大変なことでもやらされるのではなく、自分で考え理解して、やってみようと自ら選択することが重要なのです。
この選択する気持ちは、自己肯定感とともに醸成されます。
この気持ちを部下に持たせることが、自発的人材育成につながります。

(コンサルタント・中小企業診断士 木下岳之)

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