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社員の行動を習慣化させる方法とは

「部下の行動が自発的になってきたようなのですが、元に戻ってしまったな、と思う時もあるんです。行動を変えるって難しいですね。」

これは、先日飲食店の経営者と人材育成の進捗についてお話したときの発言です。

自発的人材育成の取り組みを開始して少しずつ会社の雰囲気が変わってきましたが、課題もまだあるようで、その1つが、部下の行動の継続性でした。

この部下の場合は、自発的に考えることや行動することは理解しているようで、上司と部下との対話から2週間程度は自発的に行動をしていたようですが、長続きせず、結局は元に近い状態に戻ってしまったそうです。

このように、頭では理解をしているものの、日々の業務に追われるなかで、継続できなくなってしまう場合があります。
これは、決して珍しいことではありません。
「3日坊主」ということわざがあるように、行動を継続させることは、簡単なことではありません。

 

行動が継続しない要因とは

それでは、なぜ継続できないのでしょうか?
部下の視点で、要因を考えてみると、以下のような要素があげられると思います。

現在の業務が忙しい

日常やらなければいけない業務が多いため、それをすることで精一杯で、自ら考えたり、行動したりする時間がない、もしくは少ないといった場合です。

目指す行動のハードルが高い

目標に向かって行動することはよいことですが、目標が高すぎると続かなくなってしまいます。
例えば、普段ジョギングをしない人が、健康のために週に1回10kmのジョギングをしよう、と決意したとしても、3回続けばよいほうでしょう。
疲れているときや天気の悪いときもありますので、走り慣れない人が継続することはハードルが高いと言えます。

すぐに結果を求めようとする

行動を変えれば、結果が変わります。
店舗内の業務などであれば、すぐに結果が出ます。
しかし、営業や仕入れなど、社外が関係する業務は、結果がでるのに時間がかかります。
リーダークラスであれば、結果が出るのに時間を要する取り組みが多いはずです。

考えが浮かばない

1つの行動計画が終了したときは、次の行動計画を新たに考え出したり、実施した行動を改善させたりする必要がありますが、これらのアイデアが浮かばない場合です。
このようなときは、継続することに苦痛をともないます。

 

行動を習慣化させる方法とは

行動が継続しない要因を理解した上で、継続させるためのいくつかの方法をご紹介します。
行動の習慣化には、3か月から6か月など一定期間が必要と言われますので、以下の方法を活用しながら、部下を積極的に支援していくことが大切です。

目標設定期間を見直す

行動するための目標が適切に設定されているか確認します。
高すぎる目標は、行動が継続しなくなってしまいますが、目標を下げる必要はありません。
高い目標は将来達成すべき目標としておき、その手前に、1,2週間や1か月で結果がでるマイルストーン的な目標を追加設定します。
これにより、最終的に目指す目標は変えずに、適切な行動のロードマップが描けます。

行動の見える化

行動の成果を見える化させましょう。
例えば、営業活動であれば、訪問先、訪問件数、問い合わせ件数など、顧客管理であれば、年齢層や性別、来店客数、平均単価などです。
行動の過程や結果が見えると、行動のモチベーションがわいてきますし、上司や同僚との情報共有が簡単になるため、コミュニケーションが促進されます。

コミュニケーション量を増やす

コミュニケーションは質と量が必要です。
問題分析や改善策などの質とともに、一定のコミュニケーション量を確保します。
同じ店舗内などであれば、業務に差しさわりない範囲で、積極的に声掛けをします。勤務場所が離れている場合は、頻繁に対話する機会を設けましょう。

訪問が難しい場合は、最近普及している無料、かつ簡単にコミュニケーションがとれるZOOMなどの WEB会議システムやLINEなどのメッセージアプリを使うことも一つの手です。
コミュニケーションの機会が増えれば、部下からの会話も増え、相談しやすくなります。
積極的な働きかけは、上司が部下に関心がある、との間接的な意思表示になります。

ほめる

部下のよいところをできるだけ多くほめるようにします。
人からほめられて気分を悪くする人はいません。
認められている安心感が次の行動を促します。
もし行動や結果が不十分だとしても、できなかったところではなく、できたところを見るようにします。
継続していること自体をほめることもよいでしょう。

承認する

「ほめる」ことに加えて「承認する」ことは、とても大切です。
数ある会社の中から自社を選んで働いてくれていることに感謝の気持ちをもって、部下の存在価値を承認し、その気持ちを伝えます。
どんなにほめるところがない社員に対しても、承認することはできるはずですので、「承認する」ことを意識してはどうでしょうか。


 

このように、行動を継続して習慣化させるためには、いくつかの方法があります。
これらに取り組むとともに、もう1つ大切なことは、上司が辛抱強く働きかけることです。

上司が部下の育成のために時間をかければかけるほど、部下の行動が継続するようになります。
書店の店頭には、努力不要や短時間で習慣化するなどの書籍を見かけることがありますが、習慣化させることは、決してそのような容易なことではありません。
時間をかけるからこそ、成果が長期にわたって出るのです。

部下の行動は上司の行動で変わりますので、ぜひできることから試してみてはいかがでしょうか。

(コンサルタント・中小企業診断士 木下岳之)

 

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