FC展開

FC本部のつくり方を体系化した【完全版】 FC本部構築大全を無料進呈

フランチャイズ本部の投資・収益モデルを設定する際の考え方と留意点

「フランチャイズ展開する際の“収益モデル”はどのように考えればよいでしょうか」

これは、現在弊社がフランチャイズ展開をサポートさせていただいている鍼灸整骨院チェーン経営者から頂いた質問です。

フランチャイズへの加盟希望者は、基本的にはフランチャイズ加盟することで利益を得ることを期待しています。
そのため、フランチャイズ本部が示す収益モデルや投資モデルといった数値資料は、フランチャイズ加盟希望者が当該フランチャイズチェーンへの加盟を検討するに際して、最も重要な要素となります。

収益性や投資回収期間が競合のフランチャイズチェーンと比べて見劣りすると、加盟開発競争が不利になります。
ですから、フランチャイズ本部構築初期段階において投資モデルや収益モデルを明らかにし、競合よりも見劣りする場合には、ビジネスモデルの磨き込みを行って、最低でも他のフランチャイズチェーンと同水準までは収益性を高めておく必要があるでしょう。

フランチャイズ展開を行う前に行うべきビジネスモデルの磨き込みについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

【FC大全:第2回】フランチャイズ展開するビジネスモデルを確立する

投資・収益モデルの考え方

フランチャイズ本部構築段階においては、投資・収益モデルについて以下の要素を検討しておく必要があります。

①初期投資金額

標準的な店舗を出店する際に必要となる初期投資資金を明らかにします。

どのようなものに投資が必要かは業種業態によって異なるかと思いますが、一般的には、店舗内外装工事、機械設備、什器備品、人材採用費、宣伝広告費、物件取得費、加盟金などの加盟コスト等が該当します。
加盟者の加盟判断を左右する重要な要素となりますから、漏れなく正確に洗い出すことが大切です。

物件取得費や店舗保証金等のように、ケースによって大きく変動するものは、標準値を盛り込み、ケースによって変動する可能性があることを資料に明記しておくとよいでしょう。

②収益モデル

標準的な店舗における月の売上、主要経費、営業利益の額と率を設定します。

ここで設定する収益モデルは、フランチャイズ展開時の基準となります。
いい加減に設定してしまうと、フランチャイズ展開後にトラブルの原因となる可能性がありますので注意が必要です。

例えば、実態よりも高い収益モデルを設定した場合、それを実現できなかった加盟店から訴訟を起こされることが考えられます。

実際、フランチャイズ関連のトラブルの大半は、想定通りの収益が上げられないことに起因します。
前述の通り、加盟希望者がフランチャイズ加盟する目的は、基本的には「利益を得ること」なわけですから、利益を得られなければトラブルが生じることはある意味当然のことといえます。

フランチャイズ本部としては、チェーン内で収益性が標準的な既存店舗をモデル店舗として設定し、それを基準に、各種要因を踏まえて微調整する流れで収益モデルの策定を進めていくとよいでしょう。

また、加盟店が正しい経営判断が下せるよう、ビジネスモデルに応じて必要なデータを用意することもフランチャイズ本部の役割といえます。

例えば、学習塾等の会員制サービス業は、立ち上げから黒字化までに一定の期間を要します。
この赤字分は、加盟者からみれば初期投資と同じ意味になりますから、黒字化までに要する標準的な期間や黒字化までの見込み赤字累計額は明示しておいた方がよいでしょう。

このようなイメージで、自社のビジネスモデル上、開示すべきデータを用意します。

なお、収益モデルを加盟者に提示する際には、不要なトラブルを避けるためにも「当該収益モデルは、本部が運営する標準的な直営店舗の実績をモデル化したものであり、本部が当該収支を保証するものではありません。」等のように、収益モデルの性質を明示しておくとよいでしょう。

③投資回収期間

設定した初期投資と収益モデルから、加盟者の投資回収期間(初期投資÷償却前営業利益)を逆算します。

投資回収期間とは、加盟者が投下した資金がどの程度の期間で回収できるかというもので、投資回収期間を3年以内で設定できると、他のフランチャイズチェーンと比較しても見劣りしないでしょう。

これが、3年以上になる場合には、同種フランチャイズチェーンや加盟ターゲットにもよりますが、マーケティング戦略を見直して収益性を高める、投資内容を見直して初期投資金額を引き下げる、などを検討することが必要になるかもしれません。

ただし、投資回収期間は短ければいい、ということではない点に注意が必要です。

一般的に、個人を加盟対象にするような小規模型のフランチャイズシステムは投資回収ができる限り早い方が好まれますが、法人を加盟対象とする大型フランチャイズシステムの場合には、投資回収期間が多少長くとも、長期間にわたり安定した需要が見込まれるのであれば、それほど問題にはなりません。

自社が展開するビジネスモデルの特徴や加盟ターゲットを踏まえて、適切な設定をすることが大切です。

 

まとめ

以上、フランチャイズ本部構築における投資・収益モデルの考え方をご紹介しました。

投資・収益モデルは、加盟店開発を進めていく際はもちろんのこと、フランチャイズ加盟店とのトラブルを防止する上でも極めて重要な要素となります。

フランチャイズ本部立ち上げ段階で投資・収益モデルを整理するとともに、
・より収益性を高めることはできないか
・より投資金額を削減することはできないか
を深掘りして考え、必要な打ち手を講じておくべきでしょう。

 

無料資料ダウンロード

FC本部立ち上げを進めていく際の手順やポイントをまとめた資料を無料進呈しています。宜しければ、下記よりダウンロードください。

FC本部のつくり方を体系化した【完全版】 FC本部構築大全を無料進呈

小規模フランチャイズ展開の教科書

セミナーのご案内

店舗ビジネスの多店舗展開やのれん分け・FCシステム構築を進めていくため、具体的にどう取り組んでいけばいいのか、どのような点に留意すべきか等を分かりやすく解説する実務セミナーを開催しています。

セミナー一覧ぺージへ

おすすめ記事

  1. フランチャイズ本部の立ち上げ方。7つの手順と成功の3つのポイント…
  2. 【FC本部構築決定版:第5回】フランチャイズ本部の権利・責任を契…
  3. のれん分け制度で直営店を譲渡する時の留意点。譲渡対価設計、譲渡契…
  4. のれん分け契約書に盛り込んでおきたい条項例。絶対に入れなければな…
  5. 店舗ビジネスの多店舗展開を成功させるために必要な5つの要件とは
  6. 事業拡大したい経営者必見!のれん分け制度をつくる7つの手順と、成…
  7. のれん分け制度における加盟金やロイヤリティの考え方
  8. のれん分け制度における3つの独立形態。「直営店譲渡」「経営委託」…

関連記事

  1. 【ネットラジオ】第41回『学習塾を経営しています。これからFC展…
  2. 独立支援制度を活用して理念浸透を実現する
  3. 会社を強くするために経営理念が不可欠な理由
  4. これからの企業に求められる環境変化への対応力とは
  5. 独立者が「経営者として育っていく」ことを念頭にのれん分け制度を構…
  6. 小規模フランチャイズ本部がもつ優位性とは
  7. のれん分け制度で失敗する経営者にみられる4つのパターン
  8. デジタル時代のフランチャイズ加盟店開発のヒントとは
店舗ビジネスの会社の事業拡大と社員の年収UPを探求するJOHSHINちゃんねる
小規模フランチャイズ展開の教科書

のれん分け無料メルマガ

専門コラムの他、各種ご案内をお届け中です。ぜひご登録ください。

人気のある記事

PAGE TOP