お客様を喜ばそうと多彩なメニューを用意したいと考える店主は多いと思いますが、1週間に2~3回しか注文がこないメニューのために各種食材を取り揃えて在庫してしまっていては、ロス(廃棄)が増えて原価率が高くなり、店舗収益性が悪化してしまいます。原価率は飲食店にとって最も大きなコストであり、原価率の高低は飲食店の競争力に直結します。特に、廃棄はムダでしかありませんから、少なければ少ないほど好ましいです。そこで、廃棄を減らすためにはどんな方法があるか、考えてみたいと思います。
(1)日替わりを活用する
在庫を持ち過ぎている材料があるとき、サービス価格の日替わりメニューは強い味方になりえます。ここでうまく在庫を使い切れば、ロス率を下げられる上、お客様に喜んでいただけるので一挙両得です。ただし、サービス価格の乱発は原価率の高騰につながりますので注意が必要です。
(2)売り切り方式とする
メニューに載せた以上は、お客様がいつ注文しても提供できるようにしたいのは当然のことですが、あえてそれにこだわらず“売り切れ御免”とする、というのも一つの割り切りです。無駄な在庫を持たなくて済みますし、鮮度の良い商品をいつも提供する効果もあります。しかしその一方、あれを頼んでもこれを頼んでも、そのたびに「今日は品切れです。」では来店したお客様をがっかりさせてしまう恐れもあります。「1日限定○食」など、品切れ前提の商品であることを最初から告知しておくことで、レア感を高めつつ不満を和らげることが期待できます。
(3)食材を使い回す
使い回す、というと聞こえが悪いですが、もちろんお客様の食べ残しを次の料理に使い回すという話ではありません。1種類の食材をいかに「使い回す」か、別の言い方をすれば、少ない種類の食材でいかに多彩なメニューを生み出せるか、これがロスの少ない飲食店経営の最重要ポイントと言ってもよいでしょう。イワシ1匹とってみても、刺身、塩焼、つみれ、フライ、オイル漬けなど、実に様々な食べ方が考えられます。一つのメニューにしか使わない食材をなるべく持たないことが大切です。
(4)メニューを減らす
メニューの数を減らすのはいわば究極の選択であって、売上げに悪影響を与えるリスクを伴います。しかしながら、売れ筋、死に筋の商品を把握し、お客様から選ばれていない商品は入れ替えていくことで店の魅力もアップするだけでなく、在庫回転とロス率の改善に大きな効果が期待できるので、時にはメニュー廃止の決断もためらってはならないのです。メニューが多すぎると、顧客にとって注文するメニューを決めるのにストレスがかかりますので、メニューは多ければ多いほど良いというわけではないことを心にとめておかなければなりません。
(5)食べ残しを減らす
最後に、「食べ残しによる廃棄」ですが、これは他の項目とはだいぶ意味合いが異なります。というのは、食べ残しというのは、バイキング形式を例外として、どちらにしてもお客様から代金はいただいています。つまり、損益計算上はロス率に含めて考える必要はありません。その一方、食べ残しているということは、もしかすると量が多すぎて結果的にお客様に無駄なお金を使わせているのかもしれません。いつも食べ残されているメニューはお客様の満足度が低いのではないかと疑ってみたほうがよいでしょう。
また、単にお金の問題だけでなく、食べ残しによる廃棄を減らすことは社会全体にとっての正義にかなうことは言うまでもありません。
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