ネットラジオ『多店舗化・フランチャイズ化を考える店舗ビジネス研究所』は、弊社代表の高木と社労士の田村陽太が、飲食店、整体院、美容院等の様々な店舗ビジネスの「多店舗展開」を加速させるために重要な事を対談形式でお話しするラジオ番組です。
第81回 『経営者がやりがちな、人材育成のしくじりポイントって何ですか?』というテーマで店舗ビジネス専門コンサルタントの髙木悠が熱く語ります。
【ハイライト】
・人材育成の実行すべき手順3ステップを伝授します
・会社が期待する役割と従業員の仕事への思いのジレンマを埋めるためには?
・会社が従業員に望む役割は「作業レベル」程度の業務ですか?
・従業員が本当にやりたいと思ってもらう上で必要な「動機付け」で重要な事
・難しい人材育成という課題を長期的に会社で継続して取り組むために意識すべきポイントは?
多店舗化・フランチャイズ化を考える店舗ビジネス研究所。この番組は株式会社常進パートナーズの提供でお送りいたします。
店舗ビジネス専門コンサルタントの高木悠が最速・最短で年商30億、店舗数30超を実現する実証されたノウハウをコンセプトにのれん分け制度構築、FC本部立ち上げ、立て直し、人事評価制度の整備など飲食店、整体院、美容院などの様々なビジネスの多店舗展開を加速させるために重要なことを対談形式で分かりやすくお話しする番組です。
田村:こんにちは。パーソナリティーの田村陽太です。配信第81回目となりました。本番組のメインパーソナリティーをご紹介します。店舗ビジネス専門コンサルタントの高木悠さんです。よろしくお願いします。
高木:よろしくお願いいたします。
田村:高木さん、今日も頑張っていきましょう。
高木:お願いします。
田村:本日のテーマはこちらとなっております。「経営者がやりがちな、人材育成のしくじりポイントって何ですか?」ということなんですけど、「しくじり先生」って言うテレビ番組がありましたけど、しくじりポイントを教えてください。
高木:人材育成がうまくいかないパターンでよくあるのは、人材育成には進める手順っていうのがあるんですよ。
田村:そうなんですか。
高木:この順番を守ってないっていうのが、結構しくじりポイントでよくありますよ。
田村:その具体的な手順とはどんなものなんでしょうか?
高木:三つのステップに分かれていると思うんですね。最初は、働き手に自分の役割を理解してもらう必要があるわけですよね。ご自身の役割がまず何なのかを知っている状態にして、その次のステップっていうのが、理解した役割に対して動機付いている状態ですよね。
田村:なるほど。
高木:だからやりたいと思っている自分の役割を知っていて、やりたいと思っているという状態にする。三つ目のステップが、そのために必要な技術を習得する、つまりできる状態にするわけですね。ステップが三つにわかれていて、まず知っていって、これをやりたいと思っていて、そしてできる状態にしていく。こういう3ステップがあるわけですよ。
田村:はい。
高木:これって、当たり前のことだと思うんですけど、ここでよく経営者にありがちなパターンっていうのは、できるかできないかみたいなところばかり目を向けているケースです。そもそもできるかできないかに目を向けているんだけど、その前のステップがこれをやりたいかやりたくないかじゃないですか。
田村;そうですね。
高木:やりたくないって思われていたら、もうできる・できないって関係ないんですよね。という話じゃないですか。だからまずやりたいっていう状態に持っていかなきゃいけないわけですよ。
田村:なるほど。
高木;でもその前にもステップがあったじゃないですか。
田村:知りたいっていうか、どんな仕事なのかってことですね。
高木:自分の役割を知っているか、それとも知らないのか。意外とこの知らない部分でつまずいている会社がめちゃくちゃ多いんですよ。だから、教育が意味をなさないんですよね。
田村:それは、どんな仕事を与えたらいいのかっていうのがわかってないという事ですか。
高木:その従業員さんに会社が期待している役割っていうのが当然あるじゃないですか。例えば店長だったら、店長にはこういう風にあってほしいみたいなものがあるわけですよ。会社がだから思っているものと社員の人が思っていることが違うっていう状態ですね。
田村:なるほど。
高木:そうなってしまうと、もうできる・できないとか、やりたい・やりたくないとか関係ない。そもそもの話になってしまうじゃないですか。知らないんだからやりようがないっていう話なんですね。
田村:そうですね。
高木:でも、この現象はかなり起きているんですよ。
田村;やっぱり飲食店とか店舗経営でも多いですか。
高木:いや多いですよね。やっぱり店長のことで結構あって、社長に「店長ってどういう風な人になってほしいんですか?」とか、「何を期待しているんですか?」みたいな話をするといろいろ出てくるじゃないですか。でもそれを店長に聞くと、店長は全然そんなこと思っていなくて、「ただお店を何となく滞りなく運営すればいい」と思ったりするわけですよ。
田村:なるほど。
高木:これは無理じゃないですか。だから人材育成っていうのは、このまず手順を守らなきゃいけないっていうお話があって、人材育成がうまくいかないケースで、できるかできないかのところでうまくいってないケースっていうのは実はほぼないんですよ。
田村:はい。
高木:その前工程で大体不具合が生じているから、特に不具合が生じがちなのは役割が理解しているかどうかって話なんで、そこを見直してみるといいんじゃないかなと思いますね。
田村:ありがとうございます。大事なことっていうのは、最初は会社と従業員さんの仕事内容のすり合わせというところと、次は従業員さん自身が自発的にやりたいっていう、そういうところの気持ちの創出っていうことだと思うんですけど、それはどんな風にやっていったらいいですか?会社と従業員さんのすり合わせってどんな感じでやっていくんですか。
高木:だからまず会社の中で各従業員さんがいるじゃないですか。いろんな役割があると思うんですよね。それぞれのポジションでその人に対して何を期待しているのかっていうのを、まずは可視化する必要があると思うんですよ。
田村:なるほど。
高木:だから店長には何を期待しているんですかっていう話です。例えば田村さんが想像する店長に期待する役割と何がありますか?
田村:やっぱり僕は店長って言ったらもうお店の長なので、どんなクレームが来ても対処できるとか、他の従業員さんに比べて例えばフライパンの返しがうまいとか、何でもそれを教えられるみたいな、もう「信頼の柱」みたいなぐらいの店長みたいなイメージです。
高木:そうそう。だからそういう店長に対して求める内容って、会社によってやっぱり若干違うわけですよ。クレームの話とかもあれば、要は調理の話、いわゆるオペレーションの話もあったじゃないですか。
田村:はい。
高木:でも会社によっては、マネジメントをちゃんとして、そして適正な運営をしてくれればいいみたいなところもあれば、店長の仕事は売上を上げることだからみたいな感じで、いろんなところがあるわけですよね。
田村:なるほど。
高木:それをちゃんと「見える化」して、それを店長にちゃんと伝えていかないといけないですよね。大事なのは作業レベルで止まったら駄目ですよっていう話です。例えば飲食店に行ったら、ホールスタッフもいるじゃないですか。仕事なんですかっていう話です。なんだと思います?
田村:ホールスタッフなんで、やっぱりお客さんと接するところなので、お客さんに対しての注文を多くもらうとか、あとはクレームゼロにするとか、あとキッチンの人にちゃんと料理を正しく伝えるとか、そういうことですかね。
高木:そう。だからそこをどう定義するかって非常に大事で、よくあるのがホールスタッフの仕事何ですかって僕はスタッフとかに聞くと、「料理を持っていくことなんだよ」とか、「お客さんが来たら、そのお客さんを席に通すことだ」とかいろいろ作業レベルの話なんですよ。だけど、会社が期待していることって本当にその作業ですかっていう話なんです。
田村:はい。
高木:結構違うケースあるんですよね。でもそういうこと書いてないわけです。明文化されてないから、相手は知らないわけじゃないですか。例えば経営者がホールスタッフに求めていることとかで言うと、今クレームをゼロにするみたいな話もありましたけど、料理持っていくなんていうのは当たり前の話で、例えば飲食店で言ったら居心地よくゆっくり過ごしてほしいとかもあるじゃないですか。
田村:そうですね。
高木:その役割はやっぱりホールスタッフの役割なんですよって話じゃないですか。そうすると作業から外れていくわけですね。そのときにお客さんが居心地良く過ごしてもらうために、何をしなきゃいけないかっていうのを考えなきゃいけなくなるわけじゃないですか。
田村:そうですね。
高木:そういう形で相手の役割をちゃんと理解してもらわなきゃいけないんですよ。これはそもそも経営者が従業員さんに対して求める、期待する役割を整理しきれていなかったら始まらないじゃないですか。
田村:はい。そうですね。
高木:ちゃんと整理して、コミュニケーションで伝えていく。これしかないんじゃないですかね。
田村:確かにそうですね。経営者自身がどんなことが業務中に必要なのかっていうオペレーションだけじゃなくて、本当はもっと会社全体のことっていうのを深く考えていればそれを従業員さんに対しても業務を落とし込みができますもんね。それがやっぱり大事なのかなと思いましたね。
高木:そうなんですよ。そこの役割を正しく定義ができてない限り、期待通りに動いてくれるっていうことはないんですよね。期待する役割っていうものは、いわゆる経営理念みたいなものから落ちてくるはずなんですよね。
田村:はい。
高木:会社はこういう風なものを目指しているっていうのが理念なわけじゃないですか。こういうことを大切にしている、その軸で考えたときにホールスタッフはどうあるべきか、厨房スタッフはどうあるべきか、店長ってどうあるべきかみたいなところにちゃんと落ちてきて、それを知ってないと駄目ですよねっていうことです。
田村:やっぱりそういうのは大事ですね。ありがとうございます。仕事の洗い出しというか整理が出来たと思うんですけど、次はWant(ウォント)。従業者自身がこの仕事をしたいと思わせるために重要なことって何かあるでしょうか?
高木:動機付けの部分も駄目な事例からまず行くと、よく動機付けで失敗するケースっていうのは、金銭的なものとかで動機付けをしようとするパターンですね。だからこれだけ頑張ったら賞与払うとか給料上げるよとか、これはよくありますよね。
田村:ありますね。でも嬉しいんじゃないですか、それ。ハッピーじゃないですか。
高木:そうそう。だから決して悪いことじゃないんですよ。だけど、そのお金に頼ったモチベーションアップというか動機付けっていうのはすごい大きな問題があるんですよ。
田村:何でしょうか、それは。
高木:と言うのは、お金っていうのは基本的によく「衛生要因」って言われているんですけど、これは何かっていうと例えば給与が上がったりすると一時的には嬉しいわけですよね。だけど、これってすぐ嬉しい効果はなくなっちゃって、後に生じるのはそれが万が一ちょっと下がったりとかすると、ものすごく不満が生まれる等です。
田村:なるほど。
高木:衛生要因ってわかりやすく言うと、例えば飲食店行くじゃないですか。トイレに行くじゃないですか。トイレめちゃくちゃピカピカだとするじゃないですか。それで感動します?っていう話です。
田村:綺麗だなとは思いますけど、飲食店といったらやっぱ料理とかの味で感動するんじゃないですかね。
高木:そうそう。トイレが綺麗なことで感動する人はいないと思うんですよ。でもトイレがめちゃくちゃ汚かったらどうですか。
田村:そうですね。食事中なのに「うわー、気持ち悪」ってなりますね。
高木:めちゃくちゃ不満になりますよね。これが衛生要因の特徴なんです。
田村:わかりやすい!
高木:そう。お金も同じです。よく言うじゃないですか、例えば年収500万の人は1000万ぐらい欲しいし、1000万稼いでいる人なんかは3000万欲しいしみたいな。だからもう際限がないんですよね。
田村:なるほど。
高木:だけど、下がるとめちゃくちゃ不安を生むわけですよ。だからお金での動機付けは、おのずと限界があるんですよね。だからちゃんと動機付け要因になるもので動機付けしていかないといけなくて、それが何なのかって話なわけじゃないですか。
田村:それは聞きたいですね。
高木:で、これ僕なりに考えると、人が動機付くかどうかって、結論、そこで働くことで自分の存在価値を感じられるかどうかだと思うんですよね。
田村:それはどういうことでしょうか?具体的にお願いします。
高木:例えば、その会社で働いていることで、会社に貢献していると感じられるとか、お客様に、すごく喜んでもらっているとかっていうのが実感できる。だから自分がいることで、会社とかお客さんとか従業員さんにとってプラスのものを提供できていると感じられたときに、その人のそこに存在価値が生まれると思うんですね。
田村:なるほど。
高木:これが感じられたら仕事で動機付くと思うんですね。だけどその存在価値が感じられない、例えば社長に「嫌だったらいつでも辞めていいよ」みたいな感じで言われたら、存在価値0じゃないですか。
田村:そうですね。代替されちゃいますもんね。
高木:そうそう。であるとか、お客さんに一生懸命頑張っているのに、何か喜んでもらえてないような気がするってなっちゃうとその価値が感じられなくて、これもモチベーション上がらないんですよ。
田村:そうですよね。
高木:だから会社が考えるべきは、いかにして存在価値を感じてもらえるように、働きかけていくかですよね。だからよく褒めるとかって言うじゃないですか。褒めるとかっていうのもある種褒めることによって、会社に貢献してくれてありがとうと伝えるみたいな話ですよね。
田村:はい。
高木:存在価値が感じ取れるから褒めるわけじゃないですか。でもその存在価値を感じるためにできることっていろいろあると思うんですよ。よくあるのはやっぱり承認とかって言いますね。
田村:はい。
高木:だからそんなにその人自身がすごく良いことをしたわけじゃないんだけど、例えばアルバイトさんとかがいつも時間通りに来てくれるって当たり前なんですけど、人が少ない中で、そうやって来てくれるってありがたいことじゃないですか。
田村:そうですね。
高木:そういったことでもちゃんと頑張ってくれてありがとうみたいな、別にこれは褒めてないけど、承認しているわけですね。でもそんなことで社長とかがいつも声かけてくれたら、そこにその人の存在価値って僕は感じられると思うんですよ。こういうのは大事ですよね。
田村:確かにそうですね。自分が大切にそのお店からされているなっていうのがわかれば、従業員さん自身ももうちょっとこの会社で頑張っていこうという気持ちが強まると思うんで、それは大事ですね。
高木:そうそう。いろいろありますよね。ちょっと気にかけたコミュニケーション・働きかけをしてみるとかでも、社長や店長が私のことを気にかけてくれているというところで存在価値を感じるでしょうし、そこにフォーカスして会社側で何ができるかっていうことを考え、そして実践するっていう話ですよね。
田村:なるほど。ありがとうございます。常進パートナーズさんではそういう人材育成のために、こういう手順で貴社はやっていきましょうみたいなそういうコンサルティングやアドバイスも提案されるんですか。
高木:人材育成って絶対避けられないことですから、僕たちのサービスの中ではそういったところもご相談承っていますね。
田村:ありがとうございます。もう1個質問したいんですけど、今って少子化じゃないですか。なかなか人が集まらない状態で、そういう会社側もそこまで人材育成せずにすぐ即戦力で働いてもらいたいみたい人も多いと思うんですよ。
高木:はい。
田村:やっぱりしくじりそうなんですけど、うまくやっていくコツって何かあればズバリお答えいただきたいなと思います。採用してもすぐ辞めちゃうかもしれないんで、即戦力で働いてもらいたいんですけども、人材育成って長期的に育てていかなきゃいけないっていうのがあるじゃないですか。
高木:はい。
田村:そういうのって結構会社の体力的にもきついところもあると思うんですけど、先ほどみたいな丁寧に要件を整理していって、従業員さん自身の動機づけを高めていけるようなポイントというか、持続できるようにするためのポイントってありますか。
高木:それは多分人材の採用とか、育成に対してどれだけお金がかかっているかっていうのを計算したら、考え方が激変すると思うんですよ。基本的に人材を採用することに多分相当なコストがかかっていますし、人材採用した後にその業務に就けるレベルまでに育成する研修期間とかもあるわけじゃないですか。
田村:そうですね。
高木:おそらくうん百万単位で多分かかっていますよね。それを戦力化しないまま終わったら、それは全部捨てたようなもんじゃないですか。田村さんもおっしゃっていましたけど、今の時代っていうのはもうそもそも人がいないから、優秀な人材を集める手法っていうのはあるんですけど、難しいですよね。だからそうじゃない人が来てしまう可能性、つまり会社に合わない所に来てしまう可能性もあるわけです。
田村:そうですよね。
高木:でもそれを育てられなくて途中で離脱させたら、採用費とまず業務に就くまでの研修費も全部捨てているような話ですね。しかもその金額が相当な金額になるわけですよ。そこをちゃんと見たら、多分継続していくことの重要性が嫌でもわかる話ですね。
田村:なるほど。
高木:そこはちゃんと計算した方が良いと思うんですよ。私達が関わっている会社でも進んでいる会社っていうのは、1人採用するのにいくらかかっているかとか、その人を育成するまでに一人前にするのにいくらかかっているかってちゃんと見ているんですよね。そんな感じじゃないですか。
田村:そうですね。人材育成をすることっていうのが今までのやり方と比較したら、そっちの方がメリットあるんじゃないかみたいに、そういうおさらいをするっていうのも大事だとわかりました。本日は、経営者の人材育成のしくじりポイントについてお話いただきました。ありがとうございました。
高木:ありがとうございました。
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