人材育成

自発的人材育成のために部下との対話で留意すべきポイントとは

ミレニアム世代と呼ばれる現在の20~30才代の若者は、世代が異なる社会人や異なる意見を持っている人とのコミュニケーションは得意としていないと言われています。

このような社員を自発的人材に育成するためには日頃からの対話が重要です。
対話により両者の理解を確認するとともに、考え方を共有することが大切です。

そこで、対話をする際には留意点があり、上司から部下への対話には定石がありますので、留意すべき対話のケースとして、「部下の話をスルーもしくは否定してしまうこと」、「上司の話ばかりすること」、「一方的に上司のペースで話をすること」をご紹介します。

なお、店舗ビジネスのキャリアの限界を突破する「のれん分け制度」づくりや成功のポイントを知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。

事業拡大したい経営者必見!のれん分け制度をつくる7つの手順と、成功の3つのポイント

(1)ミレニアム世代の育成には日頃からの対話が重要

ミレニアム世代と呼ばれる現在の20~30才代の若者は、SNSなどからの情報の取り扱いや特定の相手とのコミュニケーションにはとても長けていますが、世代が異なる社会人や異なる意見を持っている人とのコミュニケーションは得意としていないと言われています。

さらに不確実性が高い現代では、これまでの当たり前が当たり前でなくなることが多くなりました。
このような社会では、試行錯誤しながら正解を見つけるための多様な考え方や意見が必要であり、そのために、それらを持ち合わせえる自発的に考え行動できる社員が必要です。

このような社員を育成するためには日頃からの対話が重要です。
対話はお互いの理解を深め距離感を縮めて、信頼関係を高めることに役立ちます。

従来の多様性が多くない時代では、会社の方針や業務の内容などを部下にいちいち言わなくてもわかっているだろうなどと考えることがあったかもしれませんが、現代の若者に対しては、しっかり伝えて確認しなければ部下が認識しているとは限りません。
対話により両者の理解を確認するとともに、考え方を共有することが大切です。

(2)部下との対話で留意すべきポイントとは

対話により部下に気づきや発見を与え、自発的に考え行動させるように促します。
しかし、対話をする際には留意点があります。

対話の内容は、仕事やプライベートでも問題ありませんが、上司から部下への対話には定石がありますので、留意すべき対話の方法をいくつかご紹介します。

部下の話をスルーもしくは否定してしまう

誰でもつい相手の話をスルーや否定してしまうことがあるのではないでしょうか?
しっかり意識をしていないと、このような反応をしてしまうことがあります。

筆者も他のコンサルタントや家族と話をするときなど、うっかりスルーや否定をしてしまうことがありますので注意をしています。

例えば、相手の話を遮ってしまったり、相手の話に反応せず自分の意見など言いたいことを言ってしまう場合です。

また、相手の話を聞いた後に「でも」や「そうではなくて」などの否定語で応えてしまう場合です。
このような対応の仕方には、相手の話の受け止めがありません。

話をした人は、自分の話が受け入れられなかった、否定されたなどのネガティブな感情を抱きます。

部下との対話では、相手の話を引き出すように対話を行います。
しかし、このような対応では部下は話を気持ちよく進めることができなくなり、次第に口を閉ざしてしまいます。

望ましくないケースでは、相手は嫌悪感を抱くでしょう。
このような事態を避けるために、相手が話をしたら、必ず「そうですね」などと受け止めることが必要です。

その際必ずしも話の内容に同意する必要はありません。
相手の話を聞いたこと、理解したことを示す受け止めの言葉で応えることが対話をスムーズにします。

上司の話ばかりする

部下を自発的に行動できる人材にするためには、上司からの指示や命令ではなく、部下が自ら考え行動できるようになることが必要です。

それには、考える習慣を身につけさせることが必要ですので、対話のなかで上司は質問を多く用いて、部下に考えさせ意見を言わせるようにします。

はじめのうちは部下は難しく感じるかもしれませんが、常に受け止めてくれることがわかれば、言葉にしやすくなります。

そこで、気をつけたいことは、質問する代わりに上司ばかりが話をしてしまうことです。
そのつもりはなくても部下のためと思い、つい上司の経験談や考えを熱く語ってしまいがちです。

そして、往々にしてその話は(上司が思っているよりも)長くなります。
上司の話が長くなると、部下は考えることが不要になり次第に話が上の空になります。

「早く終わってくれないかな」、「仕事が忙しいのだけど」などと考え出したり、上司の考えを押しつけられているかのように感じ始めます。
最悪の場合は、上司の話は上から目線だなどど誤解され、逆効果になってしまうかもしれません。

上司の経験談やアドバイスは役に立ちますが、このような事態を避けるために、簡潔にポイントだけを伝えるようにし、残りは質問により部下の考えを引き出すようにします。

一方的に上司のペースで話をする

この対話の目的は部下のペースで話をリードさせることです。
部下が自分のペースで話をできれば、自らの考えをとても気持ちよく話し始めます。

話の方向性は上司が握りつつ、部下の言葉やアイデアがあふれるようになれば理想の対話と言えます。上司の一方的なペースや理解度で話を進めないことです。

二人組の漫才にはボケ役とツッコミ役がいます。
ボケ役の話の最中に、ツッコミ役が話の進み具合や理解度に応じて絶妙のタイミングでツッコミをいれることで、ボケ役はどんどんノッてきて話が盛り上がってきます。

そして、話がノッてきた時には、一人で考えているよりも新しい考えや良い方法を思いつきやすくなるものです。
部下の話に合わせてうまく合いの手をいれることが欠かせません。
二人いるからなせる業です。このように、部下のペースや理解度に応じて話を展開します。

(3)留意すべき対話方法を意識することで対話を改善させる

これらはいくつかの例ですが、心当たりがあるものです。
特に、相手にされたことについてはよく覚えているでしょう。

このような経験は人の心に印象深く残ります。
人は誰でも自分の話をスルーや否定されたり、相手の長話を聞かされたり、考えを押しつけられたりすれば、気分はよくありません。

これでは両者の関係性を深めるための対話が相手との溝を作る結果になってしまいます。
しかし、上司がナビゲートした対話を部下のペースで進めることができれば、とても気持ちのよい対話になります。

上司に対する信頼感が増し、会社に対する帰属意識が高まります。
一度の対話で両者の関係性や信頼感は深まりませんが、このような対話を繰り返すうちに次第に醸成されてきます。

部下が自発的に行動するためには、上司や会社に対する信頼感が必要です。
この信頼感により部下が安心して発言し行動できるようになります。
留意すべき対話方法を意識することで対話は大いに改善します。

(コンサルタント・中小企業診断士 木下岳之)

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