ネットラジオ『多店舗化・フランチャイズ化を考える店舗ビジネス研究所』は、弊社代表の高木と社労士の田村陽太が、飲食店、整体院、美容院等の様々な店舗ビジネスの「多店舗展開」を加速させるために重要な事を対談形式でお話しするラジオ番組です。
第82回 『よく「理念が大切」といいますが、理念はあるものの、社員にまったく浸透していきません。どうしたらいいでしょうか。』というテーマで店舗ビジネス専門コンサルタントの髙木悠が熱く語ります。
【ハイライト】
・会社から従業員への想いが一方的になっていませんか?
・理念の裏側のストーリーを伝える重要性
・理念を従業員に浸透させるためのポイント
・新入社員や中途社員に経営理念を共感してもらうには?
・会社でミッション、ビジョン、バリューを構築する方法
・経営理念を従業員と一緒に巻き込んで作成するプロセスとは?
多店舗化・フランチャイズ化を考える店舗ビジネス研究所。この番組は株式会社常進パートナーズの提供でお送りいたします。
店舗ビジネス専門コンサルタントの高木悠が最速・最短で年商30億、店舗数30超を実現する実証されたノウハウをコンセプトにのれん分け制度構築、FC本部立ち上げ、立て直し、人事評価制度の整備など飲食店、整体院、美容院などの様々なビジネスの多店舗展開を加速させるために重要なことを対談形式で分かりやすくお話しする番組です。
田村:こんにちは。パーソナリティーの田村陽太です。配信第82回目となりました。本番組のメインパーソナリティーをご紹介します。店舗ビジネス専門コンサルタントの高木悠さんです。よろしくお願いします。
高木:よろしくお願いいたします。
田村:高木さん、今日も頑張っていきましょう。
高木:お願いします。
田村:本日のテーマはこちらとなっております。「よく理念が大切と言いますが、理念はあるものの、社員に全く浸透していきません。どうしたらいいでしょうか。」という質問なんですけども、これ以前第29回で、「焼肉店を経営しています。経営理念がなかなかスタッフに浸透しません。理念浸透のポイントを教えてください。」でも、多分お話されていると思いますけれども、今回はまた深い話をいただけるということで、よろしくお願いいたします。
高木:理念ね。なかなか難しいですよね。どこの会社も大体理念ってあるんだと思うんですけど。よく額縁に飾ってあるみたいな事をいいますけどね。理念はあれども、効果が生まれてないみたいな事はあるあるですよね。
田村:ありますね。
高木:これをどうやって浸透させていくか。まず考えなきゃいけないのは、理念を従業員さんに対して社長から伝えていったりするわけじゃないですか。だけどそのやりとりが一方的になってないかどうかっていうのは考えなきゃいけないですよね。
田村:なるほど。一方的というのはどういうことでしょうか?
高木:社長がこういう風な会社にしていきたいとか、大切にしているとかっていうのをちゃんと言葉にするものが理念じゃないですか。それを、「こういうのを大切にしていきたいと思っているから、ちゃんとやってね」とか、みたいな感じになっていませんかという事です。
田村:はい。
高木:だから社員の側から見たら、押し付けられたものになっているみたいな感じですね。これは一方的じゃないですか。こういうやり方をしていると、基本的には浸透はしていかないですね。
田村:確かにそうですね。主体的じゃないですもんね。受動的ですもんね。
高木:そう。だから社長の思いを一方的に伝えるだけだと、なかなか効果を発揮しにくいんですよね。なので、その相手が理念に共感して、おのずとその理念に沿った行動をするように、働きかけていかなきゃいけないんです。
田村:そうですね。
高木:そのために、ご自身が経営者は何をできるかっていうのを考えたらいいんじゃないですか。
田村:すごくめちゃめちゃ気になるような話の進め方ですね。それはどういう風にしていったらいいでしょうかってすごく聞きたくなるんですけど、それはどんな風にやっていくんですか。
高木:相手にまず共感してもらわなければいけないじゃないですか。となると、まずその経営者が伝える内容っていうのは、当然こういう風にしていこうとか、こういうことを大切にしていこうっていうその理念の話になるわけですけど、例えばなんでその理念が生まれたのかとか、どうしてその理念なのかっていう背景とか、そこに至るまでのストーリーとかってあると思うんですよ。
田村:はい。
高木:そういうところって人の共感を引き起こすポイントだと思うんですよね。だから、社長から従業員さんに対して伝えるっていう観点でいくと、理念だけじゃなくてその理念の背後にある見えないものをちゃんと伝えるってことが必要ですよね。
田村:なるほど。
高木:例えば、私とかで言ったら理念の一つに「店舗ビジネスの社会的地位を高める」みたいのがあるわけですよ。言葉だけで言ったら普通に良いこと言っていると思うんですけど、他人にとっては「ふうん」って感じなわけじゃないですか(笑)
田村:はい(笑)
高木:だけど、それは何で私がそういう風に思ったかって話をするわけですよ。そうすると僕が飲食店に大学を卒業して入社したときに、友人とか家族とかから飲食店で働くことをすごく馬鹿にされたんです、僕は。それに対してすごく悔しい思いをして、自分の仕事にその影響を受けて自信が持てなくなって、腐りだして、売上も悪いし、モチベーションも低いという状況だったんですよね。
田村:はい。
高木:そういう人っていっぱいいるわけですよ。僕はその状況だと店舗ビジネスって絶対良くなんないし、そこで働く人たちもそんなの嫌じゃないですかと思うんですよ。
田村:そうですね。
高木:そう。だからそれを変えていきたいって自分はそう思ったから、「店舗ビジネスの社会的地位向上」というのを一つ重要な理念に置いているわけですよね。そこを判断軸にしているわけですよ。
田村:はい。
高木:と言われるのと、理念だけ語るのでは、どっちが相手が共感するかっていう話なんです。
田村:そうですね。絶対そのストーリーを入れた方が、「すごい、こんな会社だったんだ」っていう風になり、すごく共感はできると思います。
高木:そう。だから浸透を考えたときに、話さなきゃいけないっていうのがその後ろの部分なんですよね。こっちに注力するべきですね。
田村:確かに。ありがとうございます。ちょっと質問したいんですけど、僕のイメージだと、経営理念って1.〇〇、2.〇〇、3〇〇とかみたいな、結構箇条書きで書かれているじゃないですか。浸透させるためには、常日頃からこの経営理念として三つあるけど、こういうストーリーなんだよっていう風に話しかけていくのか、何かホームページとかを作って、この1.〇〇はこういう意味なんですっていうのを資料として配っておくみたいな、どんな感じで皆さんやられているんですか。
高木:まず明確な言葉にしなきゃいけないですよね。なんかそれがモヤモヤっとしていたら、なんかわかっているようでわかんなくなるじゃないですか。だからちゃんと明確な言葉にして、それを箇条書きとかでもいいと思うんですよ。
田村:はい。
高木:そういうのを経営者と従業員さんが同じものを見ている状態にしなきゃいけないですよね。「何でそういう理念になっているのか」っていうのは、さっきお話した通りストーリーとかを通じて伝えていくわけじゃないですか。
田村:はい。
高木:これが「最低限伝える」っていうポイントなわけですよ。今度はでもそこから浸透っていうところをさせていかなきゃいけないじゃないですか。
田村:これはすごく深い言葉ですよね、「浸透」っていうのは。
高木:そう。それで、どうしても伝えているだけだと、例えばさっきのストーリーを使って伝えたらその場で共感を引き起こせると思うんですけど、持って2週間だと思うんですよ。大体3日ぐらいで、だいぶ効果がなくなっていくと思うんですね。
田村:はい。
高木:そういうもんじゃないですか。田村さんもあるでしょう?セミナーとか参加して、いい話聞いたなって思っていて、2,3日熱いんだけど、3日経ったらもうなんか全部消えていくみたいな事。
田村:もう日頃の忙しい業務で忘れてしまうんですよね(笑)
高木:そうでしょ(笑)だからやっぱ伝えるっていうだけだと限界があるんで、だからちゃんと言葉にしたものを今度日々の経営活動の中で、ちゃんと意識するような仕組みを作っていかなきゃいけないですね。
田村:なるほど。
高木:例えばよくあるのが、クレドって聞いたことがあるでしょうか。従業員さんがいつでも理念を確認できるように、カードとかにして持たせておくみたいなね。ああいうのをよくやるわけですよ。
田村:ありますね。
高木:だけど結構クレド作っても意味ないみたいなことがあるんですよね。よくあるんですよ。それは何故かと言ったらクレドを渡して終わりだからなんですよね。それってある種理念をただ伝えているのと同じじゃないですか。
田村:そうですね。
高木:そこで意識しなきゃいけないのは、そのクレドをどう運用するかという事です。これ面白くて、例えば「そういう理念、ウチあります」っていう社長がいるわけじゃないですか。「クレドとかも作っています」みたいな社長が言って、どうやって運用しているんですかって僕は絶対聞くんですよ。
田村:はい。
高木:そのクレドがあることにあまり意味がないわけですよね。そこに明確に答えられる会社っていうのは大体いい会社なんですよ。この間も東北の方の会社に行って、クレドみたいのを渡されて、すごく立派なクレドだったんですよ。
田村:はい。
高木:当然それがあるだけじゃ意味ないことを僕はわかっているんで、これをどうやって運用されているんですかって聞いたら、もういくつも出てくるんですよ。例えば朝礼とかで、ここの部分はいつも読んでいますとかね。
田村:はい。
高木:あと、項目が何個もあるんだけど、今日はこの項目についてちょっと考えましょうという感じで誰かを指して、その人にその事について話してもらうとか、もういくつも出てくるわけですよ。これが大事ですよね。
田村:なるほど。
高木:クレドが、まさにその運用を通じて「自分ごと」に変わるじゃないですか。これが本当に大事なんですよ。
田村:確かに大事ですね。
高木:だからそれが初めは「会社ごと」だったわけじゃないですか。でもそれについて喋ってくれって言われるんですから、いきなり「自分ごと」になるじゃないですか。
田村:そうですね。
高木:だから自分の体験とかを通じて、理念について考えるわけですよね。それを継続していけば浸透する可能性がただ聞いているだけよりかは圧倒的に高いですよね。だって実践しているんですから。これよく理念について考える場を作るみたいな言い方を僕はしているんですけど、こんなイメージですよね。
田村:なるほど。そういう風な進め方でやっていくんだなっていうのがわかりました。ありがとうございます。ちょっと1個質問したいんですけど、僕の新入社員の時とか、僕も転職をしているんで、すごく実感があるんですけど、そういう何か会社に入りたての方っていうのは、そういう経営理念とかっていうよりも、まずは自分のキャリアっていうかそこの会社で自分がどうなりたいかみたいな事を考えるっていう方がすごく多いかなと思っています。
高木:はい。
田村:なかなか経営理念を浸透させようと思っていても、「なんだよ、理念とか。俺の生き方の方が大事だよ」みたいな、「俺の働き方の考え方の方が良いじゃん」みたいな方って入りたての方の方が多いと思うんですけど、そういう方に向けてワンポイントアドバイスというか、そういう方にも浸透させられるような事ってありますか。
高木:田村さん、ひねくれ者ですね(笑)
田村:(笑)僕の経験談なんで。新卒の時はめっちゃひねくれたんで、「なんだよ、経営理念って。ふざけんじゃねえ」と思っていたたちなんで(笑)、それって何かポイントありますか?
高木:でもそれは当たり前の話で、会社と従業員さんそれぞれ立場があるわけじゃないですか。僕は日ごろ経営者の方に言うんですけど、「従業員さんは、どっちが大切だと思いますか」っていう話なんですよ。どう考えたって、自分じゃないですか。だから、会社と従業員さんが別々のものであり続ける限り、会社が優先されることっていうのはあり得ないんですよ。
田村:はい。
高木:社長は会社と自分が一体化しているんで。同じぐらい大切にするわけですよね。どうするかっていうと、結局会社と従業員さんが「運命共同体」っていうことにできれば、その問題ってクリアできるんですよ。
田村:はい。
高木:これはどっちかっていうと理念っていうよりも、「経営計画」とか「経営目標」みたいなものに近いと思うんですけど、だからこの理念を実践していった結果、うちの会社はこういう状態になるんですよっていうことじゃないですか。
田村:そうですね。
高木:その結果皆さんにはこういう明るい未来が待っているんですよ、どうですかっていう言い方なわけですよ。そうすると、従業員さんが理念について頑張ることが、こういう風になるんですよっていう会社が定義している従業員さんの幸せに繋がっていくっていう一歩に繋がっているじゃないですか。
田村:そうですね。
高木:これが原則ですよね。
田村:なるほど。経営理念だけじゃなくて、常に会社がどういう風な目標でやっていきますかと、そういう目標を合わせつつ、従業員さんがそれに対してどこまで成長できるかみたいな、そういうのを三つ掛け合わせていって、一緒に進んでいこうみたいな話し方をしていくっていうのが大事なのかなって思いましたね。
高木:そうそう。理念っていろんな定義があるんですよ。よく「ミッション・ビジョン・バリュー」とかって聞いたことないですか。あれを経営理念で捉えると、ミッションっていうのはまさにそういう「想い」じゃないですか。我々の使命みたいなね。
田村:はい。
高木:ミッションはまさに想いの部分です。ビジョンって何かって言ったら、これがさっき話した「経営の目標」なわけですよ。経営の目標っていうのは当然会社がこういう状態になるということと、従業員さんがこんな感じで幸せになるっていう、会社と従業員さん双方のものが入ってなきゃ駄目なんですよね。
田村:はい。
高木:最後にバリューは何かって言ったら、このミッションとビジョンを実現するために、各従業員さんが「どういう心構えで仕事に取り組まなきゃいけないか」のように、より具体的な話なんです。
田村;はい。
高木:だから例えば、挨拶をちゃんと元気よくするとか、そういうレベルの話ですよね。そういったところをちゃんと定義していくといいですよね。ミッションとビジョンっていうのは、会社が作るものの訳ですよ、経営者が作るんですね。
田村:はい。
高木:結構レベル高い会社になってくると、このバリューって言われる、いわゆるミッションとビジョンを実現するために、従業員さんが何をなすべきか、どういうことを大切にすべきかを、従業員さんを巻き込んで作っていく会社もあります。
田村:そうなんですね。
高木:でもこれっていいですよね。だって会社から与えられたものじゃなくて、要は自分が考えて作っているわけじゃないですか。作成プロセスに関わっているから、初めから自分ごとなんですよね。そういう作り方とかをしていくと、より一層浸透はしやすいはずですよね。
田村:ありがとうございます。時間が近づいてきたんですけど、もう1個だけ質問したくて、先ほど従業員さんと一緒に巻き込んで一緒に作っていくことが大事だよっていう話があったんですけど、具体的に巻き込んで作っていくっていうのは、会社はどのようにやっていくべきなんですかね。
高木:例えば、うちの会社で行ったときに、店舗ビジネスの社会的地位向上の訳じゃないですか。店舗ビジネスの社会的地位向上に私達が貢献をしていくっていう上で、我々にできることは何でしょうかっていうことを従業員さんに投げかけるんです。
田村:なるほど。
高木:だから我々が大切にすべきことって何なんでしょうかっていう事です。日々の業務の中で、意識すべき具体的な内容がいっぱいあると思うんですよ。例えばコンサル業と言ったら、ひな形を提供するんじゃなくて、ちゃんとそのクライアントの悩みを十分に理解した上で、相手に合わせた要は提案をするとか、こういうのって考えたらいっぱい出てくるわけじゃないですか。
田村:そうですね。
高木:こういうのを従業員さんから出してもらうわけですよ。そうすると同じようなのが出てきたりしますよね。そういうのをグルーピングしたりして、一つのものにまとめていく、こんなイメージですよね。
田村:具体的なものから抽象化していくっていう感じですね。具体化できるのは従業員さんが実務されているからですし、それがだんだんと抽象化するにつれて、鮮度が上がっていくという事に繋がり、それはいいのかもしれないですね。
高木:そう。日々意識している業務に接する従業員さんが考えているものですから、当然効果も高いものが出てくるでしょう。やっぱりご自身で考えてるいものがその中に入っているっていうのは天と地の違いが出ますよね。
田村:そうですね。
高木:なんかさっき田村さんも「理念ってなんだよ、それ」みたいに思っていたのが、自分の思いが入っているわけだから、少なからずそれは受け入れやすいじゃないですか。本当レベル高い会社は1年に1回ぐらいそういうことやっているんですよね。
田村:そうなんですね。
高木:それくらいやった方がいいですね。だって社員って毎年変わっていくわけじゃないですか。日々本当に理念を浸透させたいって思うんだったら、そういうレベルでやっていかないと難しいですよね。
田村:わかりました。ありがとうございます。とてもいい話が聞けました。本日は、経営理念の浸透のポイントについてお話いただきました。ありがとうございました。
高木:ありがとうございました。
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