人材育成には時間がかかります。
経営者の方でも経営者としての専門性や能力が短期間で備わった方はいないのではないでしょうか?
キャリア構築に時間がかかるということは、それだけ長い期間にやるべきことを継続できなければいけません。
あるきっかけで自分の目指す将来の姿に向かって歩みだすことは可能ですが、それを実現させるまでに取り組みや努力を継続させることは簡単なことではありません。
つまり、やる気、モチベーションを継続させるとことがキャリア構築の1つのカギを握っています。
一方で、人の頭と気持ちのなかには、必ず理論と感情があります。
仕事で成果を出すためには、それらのどちらかに偏ることなく、バランスをしっかりとることが必要です。
そこで、理論づけだけではなく、どうしたら感情を少しでも前向きにすることができるのか、2つの意識する点についてご紹介します。
なお、店舗ビジネスのキャリアの限界を突破する「のれん分け制度」づくりや成功のポイントを知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。
(1)キャリア構築にはやる気を継続させることが必要
人材育成には時間がかかります。
今経営に携わっている方でもご自身のキャリアを振り返ると数年の短期間で現在の経営者としての専門性やマネジメント、リーダーシップ能力が備わった方はいないでしょう。
日々の業務を通じての試行錯誤、そのなかでの気づき、先輩や上司からのアドバイスや指導、働く環境の変化、自己啓発や研修などを通じて身につけたことなど、とても多くの経験をしながら、現在の卓越した能力が備わり、キャリアが構築できたのではないかと思います。
筆者自身も社会人経験をしながら、仕事環境を変えたり、資格の取得などに時間を費やしたことがあります。
10年以上の時間をかけ、キャリアを少しずつ構築してきました。
しかし、その間、スキル習得やキャリア構築は順調に進むでしょうか?
キャリア構築に時間がかかるということは、それだけ長い時間にやるべきことを継続できなければいけません。
3日坊主で終わっていては、キャリアは決して構築できません。
あるきっかけで自分の目指す将来の姿や夢に向かって歩みだすことは可能ですが、それを実現させるまでの長い期間、取り組みや努力を継続させることは簡単なことではありません。
つまり、やる気、モチベーションを継続させるとことがキャリア構築の1つのカギを握っています。
(2)理論とともに感情を大切にしてバランスをとる
長い時間を必要とするキャリア構築には、目指した目標に到達するためのキャリアプランが必要です。この1年間で身につけること、次の2~3年で取り組むことを想定したうえで、5年や10年先以降の将来を見据え、そこからバックキャスティング(将来を起点に現在を振り返ること)して、今取り組むべきことをより明確にします。
現在の活動が将来の目標にしっかりリンクしていることを明らかにしておくのです。
今歩んでいる道が将来の目標にしっかり結びついていることが計画に納得性を持たせ、やる気を起こさせます。
一方で、日々の繰り返しのなかで取り組みは行われます。
朝起きて1日が始まり、仕事に取り掛かり、忙しくその日の業務をこなします。
元気にやる気に満ちている日もあれば、なんとなく憂鬱な日があったり、失敗をしてしまったりして自信を無くしてしまう日もあるかもしれません。
人の頭と気持ちのなかには、必ず理論と感情があります。
仕事で成果を出すためには、それらのどちらかに偏ることなく、バランスをしっかりとることが必要です。
(3)感情を前向きにするために意識する2つのこと
そこで経営者の方が、部下のキャリア構築の取り組みを継続させるために、理論づけだけではなく、どうやったら感情を少しでも前向きにすることができるか考えてみたいと思います。
変化を作る
1つ目は、意識して「変化」を作ることです。
やる気が長続きしないのは、基本的にマンネリが原因です。
一般的に人は現状維持バイアスから変化を嫌う面を持ちながら、まったく変化がない生活や状況には耐えることができません。
変化が人の関心や好奇心を刺激することで、毎日生活することができています。
やる気の感情がその都度起こるからです。
子どもを見ているとそう思いませんか?
子どもが何かしているときは、いつも目をキラキラさせています。
知らないこと、わからないこと、初めてのことなどを前にしているから輝いているのです。
学校の席替えも大好きです。
新しい発見があるからです。
また、人生100年時代と言われますが、70歳や80歳になられた方が、新しい取り組みを始めて、その能力を高めたり、若いときから継続していたかのような成果をあげるケースを最近しばしば目にします。
これも新しいことにチャレンジすることで、人の好奇心が刺激され、取り組みが継続されるからです。
仕事においては、通常業務マニュアルや手順書などが整備されており、意識をしないと仕事は単調になりがちです。
キャリア構築においても、あるスキルを習得しようと、毎日同じことばかりを繰り返していては飽きてしまいます。
例えば、いつもと異なる手順や環境で実施させてみたり、交流の少ないメンバーと試させたり、常に発見が起こるように仕事の進め方に変化をつけることが有効です。
また新しいことでも、調べれば簡単に分かることや常識的すぎることなども関心を低下させ、やる気を起こしません。
変化を起こすためには、気づかなかったことや知らなかったことに出会うように、部下への仕事の与え方や進め方を工夫します。
その際には、教科書通りではなく、成功や失敗の経験などを通じた千差万別な人の考え方や行動を知ることができるかどうかを意識するとよいでしょう。
一見、手間がかかったり、不効率な感じがしますが、実は効率だけを追求しすぎると、結果として効率は悪くなるのです。いわゆる合成の誤謬の1つといえるでしょう。
やる気を起こさせるための余裕と安心感を与える
2つ目は、部下に「安心感」を与えることを意識します。
新しいことに取り組んだり、チャレンジする気持ちを消極的にするものの1つとして、リスクがあります。
さまざまな経験値を持つ大人は、余程新しいことでない限り、この取り組みをしたらどうなるか、取り組む前にほぼ予想がつきます。
うまくいくのかいかないのか…。
特に仕事においてはこの能力が備わっているおかげでリスクを事前に想定し、失敗の可能性を排除できるため、順調に進めることができます。
ところが、ものごとには必ず良い面と悪い面があるように、この能力がやる気やチャレンジの継続の邪魔をしてしまいます。
子どもは、やってみてうまくいくかいかないかわからないから、目をキラキラさせてチャレンジするのです。
決して物怖じしたり、将来に不安を感じたりはしません。
大人は仕事において、子どものようにまったく将来に不安を感じず、失敗の可能性を無視してチャレンジすることはできません。
しかし、キャリアを構築するためには、現状とは異なる新しいことへのチャレンジが必要ですので、うまくいかないことや失敗を許容する余裕が必要です。
チャレンジしづらい環境は、人の行動や思考を保守的、消極的にしてしまいますので、一定の責任範囲や時間のゆとりを与え、部下に安心して新たな仕事に取り組んでもらうとよいでしょう。
また部下と日頃から対話を重ね、お互いの信頼関係を醸成しておくことも、キャリア構築のためのやる気を引き出すベースとなります。
このように、人は頭ではわかっていても感情で動きますので、やる気を継続させるための工夫が必要です。
ときどき優秀な経営者の方で、理論や理屈にもとづいて多くを語り、指示をする方を見かけます。
それは1つの側面としては正しいのですが、人が行動するためには、それだけでは長続きしません。
感情にうまく働きかけることが必要です。
今回ご説明した「変化と安心感」を意識して、部下のやる気が継続するように、働きかけてみてはいかがでしょうか。
(コンサルタント・中小企業診断士 木下岳之)
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