「まだ商標権を取っていないのですが、フランチャイズ展開時には取得した方がよいのでしょうか」
これは過去に弊社にフランチャイズ本部構築のご相談に訪れたラーメンチェーンを営む経営者からのご質問です。
フランチャイズパッケージの中には「本部が展開するブランドの使用許諾」が含まれていることが一般的です(フランチャイズパッケージについては「フランチャイズ本部構築時に知っておきたい“FCパッケージの基本型” 」を参照)。
加盟者に対して本部ブランドの使用を認める場合には、「商標権」という権利を取得しておくことが不可欠です。
Fフランチャイズ展開をしていない場合にも、将来的に多店舗展開を志向するのであれば、商標権はなるべく早く取得しておきたいところです。
そこで、今回は商標権の概要についてご紹介します。
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なお、FC展開について詳しく知りたい方は、弊社YouTubeチャンネルも併せてをご覧ください。
商標権とは
商標とは、本部が展開する店舗や取り扱う商品、サービスを他社のものと区別するために使用する名前やマークで、いわゆるブランドを意味します。
この商標を特許庁に“商標登録”することで、本部は当該商標を独占的に使用することができるようになります。
これが商標権といわれるものです。
本部は加盟者に対してブランドの使用を認め、その対価としてロイヤリティ等を得るわけですから、当該ブランドの独占的に使用する権利である商標権を取得しておくことは当然です。
過去には、商標登録をせずにFC展開していた本部が、加盟者に先に商標登録をされてしまい、加盟者から利用料を請求されるようなケースもありましたので注意が必要です。
このような事態に陥らぬよう、ブランド名称を統一して展開していく場合には、FC展開前に必ず商標登録を行っておきましょう。
商標権取得時の注意点
商標登録は、本部が展開する事業の区分ごとに登録をする必要があります。
例えば、飲食店であれば第43類、美容サロンであれば第44類といったようなイメージです。
商標の事業区分は45分類ありますので、自社が展開する事業に該当する区分で登録を行います。
商標の専門家は弁理士ですので、自社の事業が該当する区分が分からなければ、相談をしてみるとよいでしょう。
その際、自社が展開する業態の事業区分に加えて、経営指導の区分である35類も取得しておきましょう。
これは、フランチャイズシステムには本部が経営指導を行い、その対価としてロイヤリティ等の対価を得る性質があるからです。
35類で取得をせずにFC展開を進めてしまい、仮に悪意を持った第三者に先に35類の商標権を取得されてしまった場合、先方から利用料を請求されたり、買い取りを求められたりするリスクが考えられます。
なお、商標権の取得コストは、10年登録でも1区分につき10万円強で、年換算ではおよそ1万円程度です。
大したコストではありませんから、フランチャイズ展開前に必ず取得をしておきましょう。
まとめ
以上、フランチャイズ展開に不可欠な商標権をご紹介しました。
ブランドを統一しているフランチャイズシステムにおいては、商標権を取得することはもはや常識中の常識で、商標権さえ取得していないような本部は、その資質を疑われてしまいます。
仮にトラブルが生じ、裁判となった場合には、上記事実は本部にとってマイナスに働くことでしょう。
フランチャイズ展開を目指していてまだ商標権を取得していないのであれば、真っ先に商標登録申請を行うことをおすすめします。
なお、フランチャイズ本部立ち上げの手順や成功のポイントについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
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