のれん分けにより独立した従業員は、一人の独立した経営者となり、多くの場合、本部に対してブランド使用料やロイヤルティなどを支払うこととなります。
経営者である以上、のれん分けした店舗で生み出した収益が独立者の給料となるわけですから、従来よりもストイックに利益を追求していくことは、経営者として当然のことといえます。
仮に本部の提供機能があいまいな状態で、独立者の独立後の店舗収益が赤字に陥ってしまった場合、どうなるでしょうか。
おそらく、多くのケースで独立者は本部に対して不信感を抱くことになるのではないでしょうか。
こういったことが積み重なって大きなトラブルにつながっていきます。
ですから、このようなトラブルが生じぬよう、事前に独立者に対して本部が提供する機能を明確化しておくことが求められます。
なお、のれん分け制度つくりや成功のポイントについて詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。
本部が提供する4つの機能
現代ののれん分け制度は、導入している企業によって多様な進化を遂げており、決まった形はありませんが、代表的な機能としては、①商標使用許諾、②商品・物品の供給・仕入れ、③開業指導、④経営指導の4つに分類することができます。
①商標使用許諾
独立者に対して屋号やブランド名、商標等を使用して店舗を経営すること認めることを意味します。
「のれん分け」というくらいですから、独立者に当該ブランドの使用権を認めることは当然のことといえます。
ただし、チェーン全体のブランドイメージに関わることですから、独立者の好き勝手に使用させるわけにはいきません。
過去には、のれん分けで独立した元従業員が自分で開始した本部に関係のないビジネスにおいても当該ブランドロゴを使用してトラブルになったケースもあります。
また、悪気は無くブランドロゴを改変して使用してしまうことなどは往々にしてあることです。
ブランドイメージを保つためにも、商標使用にあたって必要なルールを定めておくことが大切です。
②商品・物品の供給・仕入れ
商品、原材料、設備、備品等の仕入先の指定等に関する内容です。
特に、飲食店においては商品や原材料は顧客満足度に直結する内容ですから、ある程度明確化しておくことが大切です。
主要な商品や原材料においては本部もしくは本部指定業者からの購入を原則にすることが望ましいでしょう。
ただし、過度な制限には注意が必要です。例えば、独立者から見て他所から仕入れることに合理的な理由があり、かつ本部から仕入れなければならない明確な理由がない存在しない状況下で本部からの仕入れを強制することは、独占禁止法に定められた優越的地位の濫用に当たる恐れがあります。
③開業指導
店舗を開業するまでの一連の準備作業(開業手続き、店舗の物件選定から設計・施工、事業計画作成、資金調達、人材の採用、育成等)に対して本部が指導する内容です。
元従業員であっても、開業手続きや新規店舗の立ち上げについての知識・経験は十分でないことが一般的です。
特に、飲食店経営で成功するためには、業種・業態にあった立地を選定することが不可欠です。
飲食店が成功するための最重要要件である立地・物件選定については、手厚いサポートを行うべきでしょう。
④経営指導
開業した後の店舗経営やオペレーション等について指導体制を明らかにします。
前にも述べた通り、のれん分けをするということは独立者に対して経営者がこれまで培ってきたブランドやノウハウの使用権を認めることとなります。
仮に、独立者が本部の定める運営レベルを満たすことができなかった場合に、それを放置してしまうと、そのことによる悪影響はブランド全体に及ぶこととなります。
ですから、そのようなことが無いよう、独立者に対し指導・助言する内容や頻度を明確にしておくべきでしょう。
以上が、のれん分けの際に本部が独立者に対して提供する基本的な機能となります。
4つの基本機能を基準に、自社の特徴や目指すべき方向性に応じて設計するとよいでしょう。
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