人材育成

不確実性の時代に社内に目を向け実行すべきこととは

不確実性の時代に直面する経営者の皆様は、日々売上の向上に必死に取り組んでいると思います。
そして売上を上げるために市場や顧客を見ると、経営者の視点は外に向かいます。

では売上向上策を実行するのは、誰でしょうか?
それは他でもない社員の皆さんです。
社員の皆さんの協力や尽力があって、対応策が実行されます。

さらに、その取り組み具合が対応策の成果を決定づけます。
つまり不確実性の高い市場環境下では、経営者は社外を見ることに加え、社内で活躍する社員をしっかり見て、キャリア支援や人材育成することが、会社が生き残るために必要になるのです。

重要なのは社外を見る視点と社内を見る視点

本コラムのお読みになっている経営者の皆様は、毎日の会社経営、事業運営にとても忙しいことと思います。
顧客への直接の対応から、取引先との交渉、販売促進策の検討、毎月の決算、社員の人事管理など、経営者が気を配らなくてはならない分野は多岐に渡ります。

そのなかでも、多くの経営者の方の関心が高いのは、どうやって売上を上げるかでしょう。
会社を経営し、成長させるためには、売上の向上は欠かせません。

それでは、どうやって売上を上げようとしていますか?
通常は、マーケティングの4P(価格、製品、流通、販売促進)など、重要なテーマに取り組みます。
例えばターゲット顧客を絞ること、そしてその顧客層のニーズを把握する、といったことです。

このように、売上を伸ばそうと考えると、自然に経営者の視点は外に向かいます。
これはとても大切なことです。
しばしば大企業等では、社内の政治や手続きに忙しく、視点が内向きになると言われていますが、中小企業のよいところの1つは、視点が社外にしっかり向けられるところではないでしょうか。

では、顧客ニーズを把握したら、次は何をするでしょうか?
恐らく対応策を考えて実行することになるでしょう。

そして実行するのは、経営者であり、社員の皆さんです。
社員の活躍があってこそ、顧客ニーズを満足させる商品やサービスを提供できます。
つまり実行する段階では、経営者は視点を内向きに切り替える必要がある、ということです。

その商品やサービスの提供を実現する社員のことをしっかり考えるのです。
大切な社員を育成して戦力化し、会社の発展に貢献してもらうことが必要です。

不確実性が加速している社会

連日コロナウィルスや社会や技術の変化の話が、テレビのニュース番組や新聞紙上を賑わせています。以前と異なり、将来を見通すことがいっそう困難な社会になってきました。
変化そのものが起こりやすくなっているととともに、その速さ、大きさ、細かさなどが加速し、結果として、将来が見通しづらくなっています。

多くの皆様が3年後、もしかしたら、1年後の市場の状況を想像するのは、困難になっているかもしれません。
また、社会の成熟化により、社会の課題や技術の発展が高度化し、またそれぞれが関係性を持つなど、社会で起こることが、これまでよりも複雑化しています。

例えば、最近では、外国語の翻訳において、AIの活用により多くの実例から適切な訳文を例示するアルゴリズムが開発されています。
ご承知のとおり、言語には文法がありますが、これは人間が言葉を使っている様子から、後づけで学問になったものです。

人間の言葉というのは、一定の決まりはありますが、そもそもが曖昧なものです。
しかし技術の進展により、これまで難しかった「曖昧さを表現したり、実現したりすること」が可能になり、自動翻訳という機能やサービスが、ぐっと生活に入り込んできました。

不確実性の時代だからこそ社員の人材育成に目を向ける

このような時代に会社が生き残るためには、会社はいっそう自社の強みを維持・強化していくことが必要です。
ある特定の市場や顧客に依存することを避け、経営のリスク要因をできるだけ排除して、従来のしがらみにとらわれず、できるだけ変化に対応できる体質にしようと努めます。
実際多くの経営者の皆様が、このような取り組みを行っているのではないでしょうか。

それでは社員から見た場合、この不確実性の時代やその変化の激しさはどのように映るでしょうか?
恐らく社員にとっても同様で、強みを磨きながら、時代の変化に対応できるキャリアを築くこと、そして、会社に依存せず、自発的な人材として成長し自律して活躍したいと強く思っているはずです。

なぜならこのような環境下では、働く環境や技術の変化にしたがって、仕事で求められる能力が異なってくるからです。
今は役立つスキルでも、10年、20年したら、役に立たなくなるかもしれません。

例えば、今から1~2年前に、AI(人工知能)の代替により将来なくなるかもしれない職業というのが話題になりました。
その通りになるかは誰にもわかりませんが、職業においても、とても速く大きな変化が起こるのは間違いないでしょう。
だからこそ、働く人間の間で話題になったのでしょう。

将来を完全に予測することは困難ですが、何が待ち受けているかわからない将来に対して、積極的に社員のキャリア支援をすることは、社員の仕事や会社に対する満足度や帰属意識を高めます。
会社が将来に対して不安を抱いているのと同様、多くの社員は将来に対して、不安を抱えているからです。

経営者として重要なことは、変化が激しい社会や市場といった外ばかりに気を取られないことです。
これからの会社経営は、市場環境や顧客ニーズに目を向けるのと同じくらい会社の内側にも目を向け、「会社が生き残る対応策を実行する社員のキャリア育成に注力すること」が必要です。
そのことが、今後生き残るために重要となる、経営戦略の一つとなるでしょう。

(コンサルタント・中小企業診断士 木下岳之)

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