「のれん分け制度を導入すると本部の利益が減るような気がするのですが、どのようなメリットがあるのでしょうか」
これは、弊社がFC展開のサポートをさせていただいているラーメンチェーン経営者からいただいた質問です。
既存の直営店をのれん分けする場合、ほとんどの場合、本部の利益は一時的に減少することになります。
当該店舗が生んでいた利益を、本部と独立者とで分け合うことになるわけですから、本部利益が一時的に減少することも当然です。
これはのれん分け制度導入のデメリットでもありますが、このデメリットを踏まえても、近年ではのれん分け制度導入に踏み切る経営者が増加しているのです。
それでは、のれん分け制度の導入によって本部が得られるメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
今回は、のれん分け制度導入の代表的なメリットをご紹介します。
①キャリアの限界突破による社員モチベーション向上
飲食店や整骨院、美容院等の人を通じてサービスを提供する店舗ビジネスは、ビジネスの性質上、働き手のキャリアアップに限界があります。
具体的には、働き手一人当たりが生み出す粗利は月100万円が精一杯であり、社員に還元できる原資が自ずと限られてしまうのです。
働き手のキャリアアップを実現するためには、本部機能を拡充し、店舗以外のポジションを用意していく必要がありますが、ただでさえ粗利が少ない中、直接的に売上を生まない本部のコストを大きくすることは、会社の競争力低下に直結します。
以上から、店舗ビジネスでは、働き手のキャリアアップに自ずと限界が生じます。
このことが、社員のモチベーションを下げる要因となるのです。
一方、のれん分け制度を導入すれば、社員のキャリアアップの道は、「社内で出世すること」と「独立して経営者になること」の2種類から選択できることになります。
前述の通り、社内で出世する道は、枠が狭く、競争も厳しいため、限界が生じやすいものですが、独立して経営者になる道は、自らの努力次第でいくらでも収入を増やすことができますし、役職も最上位です。
つまり、のれん分け制度を導入することで、店舗ビジネスが構造的に抱えている“キャリアの限界”問題を克服することができるのです。
とはいえ、独立するといってもそう簡単なことではありません。
漠然と「独立したい」と思っていても、単独で実行に移せる人材は一握りです。
そのため、本部が独立をサポートするのれん分け制度が整備されていることは、独立を志向する人材のモチベーションを高めることにつながるのです。
なお、のれん分け制度つくりや成功のポイントについて詳しく知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。
②働く場としての魅力UPによる人材採用競争力の向上
店舗ビジネスでは、先にご紹介したキャリアアップの限界問題から、将来独立を志向する人材が多い傾向にあります。
そして、そのような将来独立を目指す人材からみてみれば、のれん分け制度の導入は、働く場としての魅力UPにもつながります。
このようなお話をすると「独立する人はのれん分け制度を利用せず、自分で開業するのではないか」等とおっしゃる経営者もいらっしゃいます。
もちろんそのような人材もいるのですが、弊社の経験則で申し上げれば、独立を志向する人材のうち、独力で行動に移すのはせいぜい1~2割程度、残りは独自開業のリスクを取ることができず、行動に移さないのです。
そのため、将来独立を目指す人材からみれば、本部が独立をサポートするのれん分け制度の存在は、職場を選ぶうえで魅力的な要素となるのです。
人手不足が深刻化している現代において、のれん分け制度を導入する企業が増えている所以でもあるでしょう。
③店舗運営力UPによる長期的な収益性向上
既存の直営店舗をのれん分けすると、短期的には当該店舗から本部が得られる収益は低下することになりますが、長期的視点に立てば、収益性は高まる傾向にあります。
のれん分け制度を利用した人材は、“雇われ社員”の立場から“独立した経営者”の立場に変化します。
そのため、独立前後で、仕事に対する向き合い方が大きく変わるのです。
実際、これまで弊社がのれん分け制度構築をサポートさせていただいた企業のほぼすべてにおいて、既存店舗での独立後には、独立前と比べて店舗収益性が劇的に向上する結果が出ています。
独立者店舗の業績が上がるにつれ、本部が得るロイヤリティも増えていきますので、長期的に考えると、本部の収益性も向上する結果となるのです。
また、のれん分けした店舗では、離職率も直営店時代と比較して低くなる傾向にあります。
これも、人手不足問題が深刻化する中において、社員が離職しないよう独立者が懸命に努力する結果といえるでしょう。
なお、のれん分け店舗の雇用は独立者の責任の下でおこなっていただくことが基本です。
そのため、本部からみれば、当該店舗における人材不足リスクの回避、社会保険等の負担低減など、副次的なメリットが生まれる点も見逃せない点といえるでしょう。
まとめ
以上、のれん分け制度導入によるメリットの代表例をご紹介しました。
のれん分け制度を適正に運用することができれば、独立者はもちろんのこと、本部にとっても大きなメリットがある点をご理解いただけたのではないかと思います。
店舗ビジネスが置かれている状況を考えれば、今後、のれん分け制度は不可欠なものとなるでしょう。
店舗ビジネスの未来を明るくしていくためにも、多くの企業様にのれん分け制度を導入してほしいと感じます。
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