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メニューブック作成前に準備すること①コンセプトを決める

前の記事「メニューブックの役割」では、メニューブックにはお店の価値をお客様に伝える役割があることを紹介しました。しかしながら、そもそもお店のコンセプトが明確でなければ、そのお店の価値を十分に伝えられるメニューブックをつくることはできません。そこで今回はメニューブックをつくる前に必要な準備として、「お店のコンセプトの考え方」を紹介します。既存店ではお店のコンセプトがすでにあると思いますが、メニューブックを新たに作る機会に今一度考えてみることをおすすめします。

コンセプトとは

「コンセプト」という言葉はいろいろな意味で使われていますが、ここでは「お客様がそのお店に来店する理由」と考えていただけるとよいかと思います。コンセプトはお店の魅力そのものであり、お店の成功に大きな影響を及ぼします。
このコンセプトというお店の大黒柱を事前に明確にしておくと、後でブレることがなくなります。例えば新しいメニューを開発する際にも、「このメニューはお店のコンセプトに合っている?」というように、コンセプトに基づいてお店のすべての取り組みを判断できるようになるからです。
お店とお客様との接点(メニュー開発、販売促進、店内雰囲気、接客など)すべてがコンセプトに即したものになると、全体的に統一感が出てきます。そして統一感が生まれることによってはじめて、お客様はそのお店が提供する真の価値を感じられるようになるのです。
これは逆に統一感のないお店をイメージしてもらうとよくわかると思います。
例えば、当社が過去に支援した店舗の中には、以下のようなケースがありました。
・落ち着いた空間でこだわり珈琲を提供するカフェなのに、売れ筋商品は中華料理
・カジュアルイタリアンレストランなのに、おすすめ商品がオムライス
この例は少し極端かもしれませんが、少なからず近しい事例に出会ったことはあるはずです。そして、お客様としてそのような違和感を感じるお店に足しげく通うようなことは無いのではないでしょうか。
このような事態に陥ってしまうのは、メニューやPOP、店構え、ネットで発信する情報等をそれぞれ個別に考えてしまっていることが原因といえます。細部にばかり目を向けて取り組んでいった結果、全体をみると「なんのお店なのかよくわからない」という事態に陥っているです。このような結果に陥らないためにも、コンセプトに基づいた統一感のあるお店作りがとても重要になるのです。

繁盛店のコンセプトの特徴

繁盛店のコンセプトの特徴としては以下の3つがあげられます。

①コンセプトが明確で、お客様に伝わる内容となっている。
②出店地域の顧客に必要とされるコンセプトである。
③コンセプトに合わせて、メニュー、価格、素材、雰囲気などが統一されている。

これら3つの要素すべてが繁盛店のコンセプトに必要なものです。
①はお客様に伝わることはもちろんのこと、従業員にも伝わらなければなりません。②が不十分である場合は、いくらすばらしいコンセプトであっても、地域ニーズがなくお客様の来店が増えることはありません。また、③が不十分である場合は、ちぐはぐな店になってしまうおそれがあります。例えば、高級感漂う店でありながら、メニューは安いものばかりで、従業員の制服はカジュアルだったりするような場合です。
まずはコンセプトにおいて3つの要素を揃えることが、繁盛店になるための第一歩といえます。

3つの要素を入れて店のコンセプトを作る

お店のコンセプトに必要な要素は、大きく以下の3つから構成されます。

①ターゲット(誰に)

お店のメインターゲットを明らかにします。ターゲットをどこまで絞り込むかという点は立地条件等によって変わってきますが、ターゲット以外の顧客層が排除されるというわけでもありませんので、基本的には特定の顧客像をイメージした方が考えやすいかと思います。「家族」「高齢者」「30代女性」などの顧客の属性だけでなく、顧客ニーズや利用シーンなどまでイメージすることが大切です。例えば、「つかの間の休息、贅沢なひと時を求める●●地域外から訪れる観光客(特に女性)」などのイメージです。

②提供価値(何を)

次に顧客に対して店舗が提供する価値を明らかにします。お客様が外食をするのは、多くの場合ただ食事をしたいだけではなく、本当はその食事体験を通じて得られる「何か」(=お客様にとっての価値)を求めているのです。例えば、月に1回の家族での外食は、食事をしたいだけではなく、家族団らんのひと時を求めているものだったりするのです。ですから、料理の内容だけではなく、店舗での食事体験を通じてお客様に提供する価値を明確に設定することが求められます。例えば、「●●地域の食材と文化を組み合わせた癒し体験」などのイメージです。

③独自要素(どのように)

最後に、お店と他の店舗との差別化ポイントをイメージします。現代の飲食業界は超成熟産業といわれています。飲食店が存在しない地域は無いどころか、進化するコンビニ等との競争も激化するなど、飲食店は熾烈な競争環境にさらされており、少なからず他の店舗との違いや特徴を打ち出すことが求められます。そこで、今後お店として強化していく・ウリにしていくべきポイントを明らかにします。例えば、「●●地域の地のモノ×まぐろの品質×料理の創作性」などのイメージです。

foodconcept

この3つの要素が重なった部分を簡潔に表現したものが、あるべきお店のコンセプトです。3つの要素の関連が強いほどコンセプトは明確になります。どれか一つでも欠けたら強いコンセプトにはなりません。ただし現実には、①~③はそれぞれ一つだけではないため、この3つの組合せが複数ある場合がほとんどです。その場合は売上の多い組合せを優先して、コンセプトを決めるようにします。売上の多い組合せのコンセプトは、そのコンセプトに共感してくれるお客様が多いことを意味するからです。

出店する地域や立地によってあるべきコンセプトは変化する

出店する地域や立地によって、求められるコンセプトは変化します。代表的な事例としては、「都会の店」と「地方の店」があげられます。それは対象となる顧客数や競合店の数に大きな差があるからです。都会の店の場合は対象となる顧客も多いですが、それを奪い合う競合店も多くなります。そのため、対象となる顧客を絞り込み、競合店との違いを明確にしたとがったコンセプトを作ることで、確実に自分のお店を選んでもらうことが重要となります。それに対して地方のお店は、そもそも生活している人自体が少ないことから、都会のお店のように対象となる顧客を絞りこんでしまうと、収益確保に必要な客数を確保できなくなる可能性があります。あまりにもとがり過ぎたコンセプトでは逆に失敗するおそれがあるのです。
このように出店する地域や立地によってあるべきコンセプトは変化しますので、「都会の店」と「地方の店」など、自分の店の立地状況を踏まえた上で、お店のコンセプトをつくることが大切です。

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