コロナウィルスの影響が長引くなか、将来をなかなか見通せない状況が続いています。
このような状況を目の当たりにして、現代の若い世代は、ますます保守的になってきているようです。
将来に漠然とした不安を持っている若い社員が多かったり、業界の将来性などを心配して転職を検討している若い社員がいるという声を耳にします。
有能な若い社員に仕事に対する満足感を体験させ、会社に対する帰属意識を高め、将来会社の中心として自発的に行動できる人材に育成することが、これからの会社の命題です。
そこで、若手社員にキャリアについて考え行動させるためのポイントとして、情報と取り組みについて、ご紹介します。
なお、店舗ビジネスのキャリアの限界を突破する「のれん分け制度」づくりや成功のポイントを知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。
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見通せない将来を不安に思う若手社員
コロナウィルスの影響は長引き、ワクチン接種が進み状況が改善するかと思えば、変異株の出現など状況は一進一退が続いています。
多くの人は、コロナ以前の状況にいつ戻るのかと思っていたようですが、実際にはまったく同じ状況にはおそらく戻らず、異なった社会の様子になっているでしょう。
特に、コロナウィルスによりネガティブな影響を受けた業界があります。
例えば、以前は外国人観光客がとても増えていましたが、元のような活況を呈するのでしょうか?
また、鉄道会社などは、人口減を除き売上げが下がることはそれほど予想していなかったかもしれませんが、通勤客の減少で売上げが低迷したままです。
さらに、飲食業は深刻な影響を受けました。
営業時間の短縮などにより以前の状況までなかなか戻らないばかりか、社員が離職してしまい再開するにしても困難な店舗があります。
失業率は低いにも関わらず、特定の業界では、人手不足が起こるという不思議な状況が起きています。
このような状況を目の当たりにして、現代の若い世代は、ますます保守的になってきているようです。
経営者の方とお話をしても、将来に漠然とした不安を持っている若い社員が多かったり、業界の将来性などを心配して転職を検討している社員がいるらしいという声を耳にしました。
若手社員にキャリアを考え行動することをアドバイスする
このようななか、若い社員の仕事や会社、将来に対する不安をそのままにしてはいけません。
SNSなどからの根拠のない情報に惑わされることや知識不足などにより、仕事に集中できなかったり、離職してしまったりするかもしれないからです。
すでに日本は人口減少社会に直面しています。
有能な若い社員に仕事に対する満足感を体験させ、会社に対する帰属意識を高め、将来会社の中心として自発的に行動できる人材に育成することが、これからの会社の命題です。
少数精鋭で社員をやる気にさせ、いかに活きいきと働かせることができるかが、これからの会社の成長のカギとなります。
そのためには、特に入社1~3年目くらいの若手社員に自分のキャリアについて前向きに考え行動させることが重要です。
せっかく育てた社員が離職してしまっては、会社の生産性を継続して高めることは困難です。
将来に対する不安を具体化して課題に取り組むことで、自分の仕事に自信を持てるようになります。
若手社員にキャリアについて考え行動させるためのポイントとは
若手社員にキャリアについて考え行動させるためにはポイントがあります。
それは、情報と取り組みです。
なぜなら入社から数年の若い社員は、社会や仕事に対する知識と経験が不足しているからです。
これらを充実させることが彼らのキャリア形成へとつながります。
現代の若い社員はキャリアや仕事、生活設計についての情報をどこから得ているのでしょうか?
多くの若い社員は、インターネットのニュースやブログ、そして、友人や職場の人から情報を得ているようです。
同じ職場の人からの情報は貴重です。
職場環境が同じため、一番身近に感じることができます。
会社の経営者や上司、先輩が自身の体験談などを含めて若手社員に話しかけ、積極的にキャリア形成に関与するようにします。
一方、インターネットからの情報は便利ですが、自分にとって望ましい情報のみスクリーニングしたり、個人的な意見だったりする場合がありますので、注意が必要です。
これらが情報筋としてふさわしくないわけではありませんが、本や雑誌、ニュースやテレビなど情報に根拠を示している媒体からも情報を入手するようにし、自分が気づいていなかった情報や望ましくない情報にも接するようにアドバイスします。
特定の情報に偏らず、バランス良く情報を入手することで、事実を捉え客観的に考えることができるようになります。
良い・悪い、やる・やらないなど2者択一しかない極端な思考や判断を避けることができます。
取り組みについては、若手社員は、これまで先輩社員などから仕事の進め方を教えてもらったり、新しい業務を習得しようとした経験があります。
また、業務に関係のある研修やセミナーなどにも参加したことがあるでしょう。
これらは社会人として新しい業務を遂行するために必要なことですが、キャリア形成という点では、これらに加えて、モチベーションを高めるような行動も必要になります。
例えば、仕事については、職場の改善提案を促したり、新規企画の提案や推進に関与させたりします。日々の業務をするだけでは、業務を会社の歯車の1つとしてしか感じることができず、長期的にやりがいにつながりません。
しかし、会社の将来のことに巻き込むことで、会社が貴重な戦力として認識していることが伝わり、気持ちが前向きになります。
また、若手社員といえども、後輩の指導を担当させることも効果的です。
職場でいつまでも新入りのままでは甘えの気持ちも出やすくなりますが、後輩が入って指導する立場になれば、業務についてより深い理解と適切な行動が必要になります。
また後輩に対して恥ずかしい姿勢は見せたくない気持ちなどから、業務を自分事として捉えるようになります。
さらに、店舗間の情報共有やプロジェクトに参画させたり、社外の勉強会に参加させたり、業務上接点のない人やグループなどと交流する機会を設けたりします。
いつもの職場と違う空気を吸わせることで、自分の業務や考えを別の視点から見つめることができ、内省に役立ちます。
社内や社員の心のなかを風通しよくしておくことは気分転換になり、新しい気づきが生まれやすくなります。
若手社員にキャリアについての振り返りや内省を促す
若手社員にキャリアを考え行動させるためには、情報と取り組みが大切であることを、具体例を交えてご説明いたしました。
情報と取り組みは、バランスも重要です。
両方が充実することで、モチベーションが高まります。
情報ばかりでは行動が伴っておらず、不安の払しょくには十分ではありません。
行動ばかりでは、取り組みの後の振り返りや内省につながりません。
このように、若手社員に身近な情報や客観的な情報に接しさせ、現在の業務や人脈の枠にとらわれない取り組みをさせることで、振り返りや内省を促します。
振り返りや内省をすることが、自分のキャリアに対する考えを整理させ、興味や気づきを与え、次の行動への一歩となります。
こうして次第に自らキャリアについて考えるようになり、自信を持って業務に取り組めるようになります。
(コンサルタント・中小企業診断士 木下岳之)
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