フランチャイズ展開は色々と問題が起きそうなので、社員を対象とするのれん分け制度の導入を考えていたのですが、タカキさんの話を聞いているとフランチャイズ展開もありだと思いました
これは、先日弊社ののれん分け制度構築サポートにお申し込みをいただいた介護事業所チェーンを営む経営者からいただいた言葉です。
弊社にご相談に来られる経営者の中には、フランチャイズシステムに対してネガティブなイメージを持つ方が少なくありません。
一般的にも同様な傾向があるのではないかと感じます。
この背景には、頻発するフランチャイズ本部と加盟者間のトラブルがあることは間違いありません。
それでは、フランチャイズシステム自体に問題があるのかというと、私は決してそんなことはないと考えています。
とすると、フランチャイズシステムではなぜ本部と加盟者間でトラブルが頻発するのか。
今回は、この原因と解決方法について、私なりの考え方をご紹介したいと思います。
FCシステムは、本部・加盟者共にメリットのある仕組みである
フランチャイズ本部と加盟者間の争いがメディアで大きく取り上げられることもあり、フランチャイズシステムに対してネガティブなイメージを持つ方も多いでしょう。
私も、フランチャイズ本部で働いている時には、フランチャイズシステムに対してネガティブなイメージを持つ一人でした。
ただ、今ではフランチャイズシステムは本部にとっても加盟者にとってもメリットのあるWin-Winのシステムであると考えています。
この点を具体的に考えてみましょう。
まず、フランチャイズ本部の観点からいうと、自社が開発したノウハウを加盟者に提供することで、他人資本を活用した多店舗展開ができるようになります。
その結果として、
- 直営展開では不可能なスピード感のある多店舗展開
- 借入金や固定費を最小限に抑制した身軽経営
などを実現することができます。
一方、フランチャイズ加盟者の側から考えてみると、本部が開発したノウハウを用いて新しい事業を開始することができます。
その結果として
- 独自に事業を立ち上げるよりも迅速に新規事業を立ち上げられる
- すでに成功している経営ノウハウを利用することで事業リスク低減できる
などを実現することができるようになります。
このように、フランチャイズシステムの仕組みをじっくりとみてみると、フランチャイズシステムは本部にとっても、加盟者にとってもメリットのあるWin-Winのシステムであることがわかります。
FCで問題が起きる原因は、「儲かること」が中心テーマになっているから
それでは、なぜこのようなWin-Winのシステムであるにもかかわらず、フランチャイズシステムでは本部と加盟者間でのトラブルが絶えないのか。
この点、私は本部、加盟者ともに「儲かること」に焦点が偏り過ぎていることが原因ではないかと考えています。
より具体的にいうと、
- 本部は、加盟者がフランチャイズ加盟することで大きな利益を得られることを積極的にアピールし、
- 加盟者は、どれくらい利益を得られるかを最重視して加盟するフランチャイズ本部を選択している、
ということです。
事業である以上、最低限の収益がでることが大切であることは間違いありません。
しかし、事業で何をするかは、本来「儲かるかどうか」だけで判断するものではないはずです。
普通であれば、まず事業を通じて実現したい姿を踏まえて取り組む事業内容を検討し、そのうえで収益が上がるかどうかを検証し、最終決定するものではないでしょうか。
ところが、フランチャイズ業界では、ほとんどの本部と加盟者が「儲かること」を最優先して加盟者募集や加盟する本部の検討を行っているのです。
フランチャイズ関連のイベントにいけば、この「異常さ」をすぐに感じ取ることができるでしょう。
当然、本部から「儲かること」をアピールされ、加盟者が「儲かること」を基準に加盟するフランチャイズ本部を選択した場合、事業開始後、儲からなければトラブルとなることは避けようがありません。
もちろん、儲からないこと以外にも
- フランチャイズ本部のノウハウやサポートが不十分
- 加盟者の経営努力が足りない
など、トラブルの原因はあるでしょうが、その根本をたどっていくと、フランチャイズ加盟において「儲かること」が中心テーマとなっていることが本質的な問題といえるのではないでしょうか。
FCで最重視すべきは「想いの共有」
逆に、「事業を通じて実現したい姿」等の想いを、本部と加盟者で共有することができていれば、事業開始後、仮に儲からない事態が発生したとしても、苦難を乗り越えるべく、お互い力をあわせて取り組んでいけるはずです。
弊社では、店舗ビジネスで企業される方をこれまで数多くサポートしてきましたが、起業する背景に「お金を稼ぐこと」以外の明確な想いがある人の方が、「お金を稼ぐこと」が第一目標の方と比べて、成功する確率が明らかに高いことを実感しています。
明確な想いがあるからといって、起業直後から上手くいくわけではありません。
起業する背景に明確な想いがある人は、はじめは上手くいかなくても、自らの想いを実現するために努力を続けていく結果、最終的に成功しているのです。
一方、「お金を稼ぐこと」が主目的となっている人は、はじめに上手くいかないと、そこで心が折れて、事業を継続することを諦めてしまいます。
これは、フランチャイズにもあてはまるはずです。
加盟者が、本部の理念に共感・共鳴していなければ、事業が成功する確率は低下し、トラブルになる確率は各段に高まるのです。
ですから、本部としては自らの理念を継続的に情報発信し、理念に共感・共鳴してくれる方だけを加盟させていく必要がありますし、加盟者としては、理念に共感・共鳴できる本部を選択する必要があるのです。
ビジネスとして儲かるかどうかも重要ですが、その前提に、理念の共有がなければならないことを本部・加盟者ともに理解しておかなければなりません。
まとめ
以上、今回は、本部と加盟者間のトラブルを予防する「理念共有型フランチャイズ」の考え方をご紹介しました。
ご紹介した通り、フランチャイズシステムは、本部にとっても、加盟者にとってもメリットのあるWin-Winのシステムです。
ところが、本部、加盟者ともに「儲かること」に焦点が偏り過ぎていることから、トラブルの絶えない状況となっています。
フランチャイズに限らず、共同事業を行う場合、関係者で理念を共有することが不可欠です。
この原点に立ち返り、「理念の共有」を最重視してフランチャイズ展開を進めていくことが求められているのではないでしょうか。
なお、フランチャイズ本部の立ち上げ方や成功のポイントについてついて詳しく知りたいかたはこちらのコラムをご覧ください。
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